JOC元コーチの告発 金メダリスト「高田裕司」専務理事に1050万円奪われ…

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 本誌(「週刊新潮」)が日本レスリング協会幹部の強化費ピンハネ問題を報じたのは今年3月のこと。以来、“主犯”の高田裕司専務理事(66)は頬かむりを続けてきたが、ついに、その核心が白日の下に晒されようとしている。

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 1976年モントリオール五輪で金を獲り、次のモスクワも連覇確実とされたものの、日本は参加ボイコット。選手集会での男泣きは、大々的に報じられた。

 そんな“悲劇のオリンピアン”高田専務理事によるピンハネ。本誌が報じたのは、彼が監督を務めた山梨学院大学レスリング部の選手の告白だ。大学から選手へと支給される強化費月10万円のうち、「高田監督」が4万円を“預かり”、6万円が選手に手渡されていた。

 ところが、“預けた”4年分約130万円が消えてしまう。監督管理の選手名義の口座から数十万円が複数回引き出され、残高はほぼゼロ。選手が監督に質すと、「通帳はない」「カネもない」の一点張り。選手の父親も巻き込んで揉め、昨年末、返還されたのである。

 ピンハネ金メダリストはこの件に関する説明を拒み続け、時が流れていた。そして8月12日。読売新聞が、独自ダネとして次のような不祥事を報じたのだった。

〈レスリング協会 不適切流用 補助金還流、申告せず〉

赤羽のマンション代

 NHKやスポーツ各紙が後追いした記事のポイントは、JOCが委嘱する専任コーチに払われる謝金。協会は2012年ごろまで、補助金から出る謝金の一部を、専任コーチからの寄付という形で協会に“キックバック”させていた。この実態を、元専任コーチがJOC宛てに告発。JOCは協会に、調査と報告を要求したというものだ。

「この“寄付”も高田専務理事の主導でした」

 と、告発者が明かす。

「週刊新潮の強化費ピンハネの記事で、“まだ続いていたのか”と驚き、告発を決めました。私は12年度まで8年間、専任コーチを務め、年360万円の謝金の一部を協会名義の口座に振り込むか、高田に手渡しました。彼から“寄付は皆の金”と言われたからです。年に1度か2度、1回30万から150万。総額、1050万円です」

 金メダリストの先輩ゆえ、異を唱えることはできない。

「ですが、皆の金と言いながら、高田がそこから会合費などを払うのを見たことがない。私は不審に思って使途を何度も訊ねると、あるとき高田がポロッと言ったのです。“妻が東京の赤羽に借りているマンション代だ”と」

 首を傾げる説明は他にも。

「12年のロンドン五輪前でした。高田は寄付金を使い、男性スタッフに1本60万円のロレックスを、女性には旅行券を記念に贈ると言いました。が、届いたのは、“LONDON”という文字と五輪マーク入りの指輪。約3万円のシロモノでした。でも、協会の人事を握る高田に意見する者はいません。それをいいことに、JOC理事でもある彼が、コーチ謝金という“公金”を自由に使っていた。もう、黙っているのはやめました」

 ちなみに、高田専務理事は今回も、「取材は受けません」と逃げの一手である。

 JOCはついに、JOC理事の調査に乗り出した。さしもの金メダリストも、フォール負け必至か。

週刊新潮 2020年8月27日号掲載

ワイド特集「列島沸騰!」より

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