朝日「軍艦島の徴用工虐待」社説に元島民は激怒 “姑息な回答”に更に深まる疑惑

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朝日の驚愕回答

 これに対し、朝日新聞は8月11日付の書面で広報部が回答を行った。重要な部分だけをご紹介しよう。

《「朝鮮半島出身者の労務動員に暴力を伴うケースがあったことや、苛酷な労働を強いたこと」をめぐる記述は、当時の徴用工の労働現場一般についての言及であり、端島に特定して記述したものではありません。日本国内で上記のようなケースがあったことを示す公文書などがあることは公知の事実です》

 重要なところなので、もう一度、丁寧に振り返っておく。そもそも、社説にはどう書かれていたのか。

《軍艦島と呼ばれる長崎県・端島にあった炭鉱の元住民らが、朝鮮半島出身者への差別などなかった、と語るインタビューが流されている》

《当時を知る人びとの証言が、貴重な価値をもつのは論をまたない。しかし、個々の体験の証言を取り上げるだけでは歴史の全体像は把握できない》

《朝鮮半島出身者の労務動員に暴力を伴うケースがあったことや、過酷な労働を強いたことは当時の政府の公文書などで判明しており、日本の裁判でも被害事実は認められている》

 社説は、ずっと端島炭鉱=軍艦島のことを話題にしていたはずだ。誰もが、そう読んでいたに違いない。

社説の“歴史観”

 そして朝日新聞は質問に対し、「公文書」について具体的な根拠を示さなかった。あくまでも抽象的に「存在する」という主張を維持してきた。被害事実を認めたとする「日本の裁判」については一切の回答を避けてきた。

 ところが今回、《暴力を伴うケースがあったことや、苛酷な労働を強いた》という部分は突然、《端島に特定して記述したものではありません》と言い出し、“一般論”を書いたのだと朝日新聞は説明してきたのだ。

 結局のところ、公文書や判例が存在しないのであれば、朝日新聞社の社説は虚構の疑いが出てくる。一種の情報操作だと非難されても仕方ない。

 おまけに加藤センター長に対して行った回答とも矛盾する。加藤センター長は「公文書が存在するのか?」と質問し、朝日新聞は「公文書は存在する」と回答を行っているからだ。

 出典は明示しなかったものの、あくまで端島炭鉱=軍艦島の事例という前提条件は成立していた。ところが元島民の会に対する回答では、「この部分は、端島のことは関係なく一般論です」と、自ら前提条件を崩してしまったのだ。

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