チャラ男というよりハラ男? 手越祐也の「暴露本」を読んでわかった危険な欠点

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正直さは実業家に必要か? 手越に感じるズレと不安

 今回の出版は、「生身の手越」を伝えたいから、ということだった。自分のまっすぐさゆえに、過去の報道で相手の女性やファンに迷惑をかけた。自分もモヤモヤした思いを抱えたままでは人生第二章に進めない。真実を語ることでバッシングもあるだろうが、スーパーポジティブな姿勢で頑張る自分を見てほしい。そんなメッセージもあった。

 しかし、ハラスメント気質とスーパーポジティブを掛け合わせると、周囲を傷つけても何とも思わないサイコパスの出来上がりだ。世界目線でビジネスを語る前に、怒りのコントロールや女性への接し方を学ぶべきではないか。

 何より、信用が一番の担保になるビジネス界で、果たして「正直さ」がそんなに大事なのだろうか。何でもかんでもしゃべってしまう相手は怖い。かばうつもりはないが、例の医療従事者もそうだろう。女性を同伴したのは相手から頼まれたから、とけろっとバラされてはメンツ丸つぶれである。身元が特定されようものなら商売に差し障りが出る。手越の「正直に話します」は、「ボロが出ています」になるリスクが大きい。

 そもそも正直さや実直さは、自分でアピールするものではない。普段の行動を見て周りが判断するものだ。「嘘がつけないタイプで」とか「サバサバしてるってよく言われる」と自称する人々が、ただ無神経と紙一重の放言をすることはままある。手越と交際報道があった女性たちにとって、この本はそれこそ不要不急の火種となったことだろう。

 権力者や有識者との会食を重ね、世界目線でビジョンを語るまっすぐなオレ。言っとくけど無名の人とブスは邪魔しないでね。そんなオレ様気質が見え隠れする手越の告白本。なおパワハラ気質で知られた名実業家スティーブ・ジョブズが憧れのようで、エッセイでも触れられている。「ステイハングリー、ステイフーリッシュ」の名演説を思い出すが、手越には今度こそ、「ステイホーム、ステイホーム」と繰り返し伝えてあげた方がいいように思う。肩書きばかりの悪い人間に利用され、取り返しがつかなくなる前に。

冨士海ネコ

2020年8月14日掲載

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