日テレ「リモートで殺される」、なぜ敢えて「続きはHuluで」商法をやったのか

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 7月26日、日本テレビで「リモートで殺される」(22時30分~23時25分)が放送された。

 企画・原案を秋元康氏、監督をホラージャンルでは有名な中田秀夫氏がそれぞれ担当。「リモートでの会話を軸に繰り広げられるリアルタイムミステリードラマ!」という謳い文句だった。

「緊急事態宣言による自粛期間の最中、リモートで集まった高校時代の同級生6人の話は、高校在学中に学校の屋上から転落死した同級生の女子の話題に。その子の話をしていくうちに彼ら6人は次々と殺されていく…」というストーリーで「日テレがこのキャストとスタッフでやって、面白くないわけがないだろうなあ」と思いつつ、観たのだが……。

 出演者の芝居はそれぞれよかった。これから地上波版とHulu版をまとめてHuluで観る人がいるとは思うので、それぞれの出演者がどんなふうにストーリーと絡んでいくかはネタバレになるので書かないが、前田敦子は特によかった。初めてしっかりと観たが、斎藤飛鳥の「小悪魔っぷり」もすごく面白かった。

 また、ドラマが「リモートでの会話」を軸にしているからといってもPC上に映る“正面から見た人の顔”がZOOM風に並んで会話されていくだけではなく、リモート参加者の全身の動きを写し撮る普通の民放ドラマにあるカメラワークを併用。その結果、「ネット上でのリモートドラマ映像+一般のテレビドラマ映像」という形になっていて飽きることはなかった。

 こんな演出もあった。上下3名ずつリモート参加者が並び、上の一番左の人がセリフを話し、次にその隣の人、さらに次にその隣の人…とセリフを順に話していくと、そのセリフに合わせてカメラワークは左側から水平に移動していく。「リモートワークを撮るのに、こういう映像の発想もあるのか」と、その演出に新しさを感じたりもしたのだ。

 それにも関わらず、この「リモートで殺される」は、放送終了直後、「これは本当に酷い」と思わされたのだ。

 何を酷いと思ったのか。

 それはこのドラマとHuluをつなぐドラマの構造と、その構造からの逆算によって決まってしまった地上波版「リモートに殺される」の“お話”のこと、だ。

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