コロナ「第2波パニック」を煽るワイドショー 感染者急増のウラに10万円の見舞金

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 東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者が連日100人超え――。ワイドショーは早くも第2波到来と煽り、不安を抱えた人の足が街から遠のいている。しかし、実態は「夜の街」で検査を広げただけ。市中に広がらないまま収束に向かっているのだが。

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 歴代2位の366万票余りを獲得し、再選を果たした小池百合子都知事(68)は、投開票を翌日に控えた7月4日、「都民のみなさまには不要不急の他県への移動は控えていただきたい」と呼びかけていた。

 たしかに、都内における新型コロナウイルスの新規陽性者数は、7月2日に107人と、5月2日以来の100人超えを記録してから、大台に乗るのが当たり前になっている。緊急事態宣言下で日々繰り返された「他県への移動」云々との呼びかけが復活するのも、致し方ないのだろうか。

 小池知事の呼びかけからは、都民の間に感染が広く拡大しているように受け取れるが、東京都福祉保健局感染症対策課に聞くと、どうも事情が異なる。

「6月30日から7月6日までの1週間に新たに確認された感染者は、計696名で、うち夜の街関係の従業員とお客さんは272人でした。感染経路を追えない人も増えているものの、繁華街での感染者が多いのは事実です。とはいえ、一般のバーや居酒屋などでの感染は少数で、職場クラスターも少ない。一般のバーなどでは静かに飲む方が多く、職場でもあまり大声を出したりはしません。キャバクラやホストクラブは遊び方、すごし方が違うので、感染に差があるのではないかと思います」

 国内最大の繁華街で、多くの感染者を出している歌舞伎町を抱える新宿区の健康政策課にも聞いた。

「現在、陽性者が出ていて濃厚接触者が多いホストクラブなどを対象に、保健師の判断で、ほかの従業員への検査もお願いしています。いままで検査対象にならなかった自覚症状がない層に検査を広げているので、陽性者数は当然増えます。感染を止めるための積極的な取り組みの成果が表れているのだと、理解していただきたいです。また、いまの数字はあくまでも感染者が出た店で検査をした結果で、普通の飲食店も多い歌舞伎町全体で感染が拡大しているのとは違います。キャバクラやホストクラブに感染者が多いのは、狭い場所に大人数で、お酒を回し飲みしたりしているからではないかと思います」

 昨今、悪名高い歌舞伎町だが、感染の広がりは一部にかぎられ、数字の増加も、これまで見逃されてきた感染者が捕捉されているにすぎない、というのである。

 信州大学特任准教授で法学博士の山口真由さんは、

「都民の一人として、感染者100人以上という数字が独り歩きしていることに疑問を感じます」

 と、こう述べる。

「検査数を増やせ、と言ったのはマスメディアでしたが、実際、検査を増やしたら感染者が見つかるようになった。そこで、100人を超えたとワーッと騒ぎ立てるわけですが、それでいいのか、数字先行で冷静な議論ができなくなっていいのか、と思います」

 東京都や新宿区の話からわかるように、彼らはメディアが求める通りに検査を増やしたにすぎない。ところが、そのメディアがバイアスをかけ、悲観的な話に仕立ててはいまいか。

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