「BG」「MIU404」「未満警察」……ドラマのトレンドはバディもの 3つの名作が原点

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「傷だらけの天使」の原点とは

 では、バディものの原点といえば? 50代以上の世代にとって、水谷豊で思い出されるのは「傷だらけの天使」(日テレ:74~75年)だろう。

「50代以上といえば、テレビ局の編成幹部やドラマのベテランプロデューサーの世代ですね。彼らがリスペクトしているドラマのNo.1と言っていいでしょう。探偵のバディもので、主人公のオサムちゃんを演じたのはショーケンこと萩原健一。脇の相棒・アキラを演じていたのが水谷さんでした。このコンビがカッコよくて、しかも面白かったんです。『アキラ!』『ア~ニキィ』の掛け合いも良かったですしね。大野克夫(演奏・井上堯之バンド)の曲に合わせて、起きがけのショーケンがトマトとコンビーフを囓るオープニングは、今見てもワクワクします。日本のバディものの最高峰と言って良く、ドラマを作る上で意識せずにはいられない作品だと思います」(同)

 テレビドラマにもかかわらず、監督には深作欣二、恩地日出夫、神代辰巳、工藤栄一など、そうそうたる顔ぶれの連ドラだった。他の名作バディものといえば、

「“あぶ刑事”(「あぶない刑事」日テレ:86~87年)でしょうね。ダンディ鷹山(舘ひろし)とセクシー大下(柴田恭兵)の破天荒な刑事を描いてヒットしました。“関係ないね!”は、いまもモノマネされているほど大流行しました」(同)

 日テレが多いのだろうか?

「かつて日テレは、『太陽にほえろ!』(72~86年)に代表されるように、刑事もの、探偵もののドラマが多かった。必然的にバディものができたのだと思います。松田優作と中村雅俊の刑事バディもの『俺たちの勲章』(75年)もありました。『刑事貴族』(90~92年)では、Part2の後半からバディものに軸を移しました。水谷さんと寺脇康文さんのコンビです。水谷さんの演技も軽く、寺脇さんも『ア~ニキィ』とか呼んでいましたからね。このコンビがそのままテレ朝の『相棒』となったわけです。もちろん、キャラクターも物語も変わっています。名作といわれる『傷天』も数字が取れずに打ち切り説があった中、視聴率的に成功したバディものと言えば、『噂の刑事トミーとマツ』(TBS:79~82年)でしょう。国広富之と松崎しげるの刑事バディものですが、内容的にはコメディ。弱虫の国広に“おとこおんなのトミコ!”と怒鳴りつけると、一瞬にして悪をなぎ倒す、どちらかというと変身ものに近い刑事ドラマで、お茶の間で人気でした」(同)

 こうしたバディものは、何を参考に生まれたのだろう。

「一説には、米ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』(75~79年)や『白バイ野郎ジョン&パンチ』(77~83年)に影響を受けているのではないかとも言われています。しかし、それだと『傷天』のほうが先に放送されていますから説明がつかないんです。以前、ショーケン自ら『萩原健一、「傷だらけの天使」を語る。』(BS12 トゥエルビ:17年2月)でその謎を明かしたことがあります。彼は、自分の作品には結構首を突っ込むタイプでしたからね。『太陽にほえろ!』や『傷天』に井上堯之バンドを推したのも彼ですしね。バンド時代の仲間ですから。『傷天』の原点について彼は、ジーン・ハックマンとアル・パチーノの共演で、カンヌ国際映画祭のパルム・ドールを獲得した映画『スケアクロウ』(73年)に刺激を受け、探偵もののロードムービーにしたいと思っていた、と話していました」(同)

「スケアクロウ」は、日本の多くのドラマに影響を与えたと言われる。鎌田敏夫が脚本を手掛けたNHKドラマ「十字路」(78年:千葉真一、草刈正雄)も、その1つといわれる。パルムドールを獲った作品が、日本のバディものの原点だったとは。果たして今季のバディものは、どれが高評価を得るだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月11日掲載

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