フランス警察が抱える人種差別問題 現地在住の日本人が今も忘れない酷い扱い

国際

  • ブックマーク

Advertisement

「フランス語話せる?」

 実をいうと、私自身もフランスの警察に嫌な思いさせられた経験があります。あるオーガニックスーパーで自分のスマホをポケットに入れたのを万引きと疑われ、店員が警察に通報したのです。

 買い物を済ませて店外に出ると、3人の白人警察官に囲まれ、まず「こんにちは、フランス語話せる?」と言われました。「話せます」と答えると、「地面にバッグを置いてこっちに来なさい」と言うのです。

 私はまったく状況が呑み込めずにいると、「あなたに選択の余地はない」と凄まれました。そして「ポケットのものを出せ」などと言われ、女性警察官から身体検査のようなことをされました。その時、ようやく万引きを疑われていることに気づき「どういうことか説明してください」と言いました。しかし、彼は面倒くさそうな顔をするだけで、何も言いません。

「私が万引きしたと疑っているんですか?」と聞くと、「そうだ」と一言。そこで自分のスマホを見せると、警察官は肩透かしをくらったような顔をして「もう行っていい」と言うのです。もちろん、謝罪もありませんでした。

 その時は、とにかくその場を離れたかったのですが、女性警官官から「ショックを受けないでね」と、言われました。それに対し、私が「ショックです」と答えたら、男性警察官は「ちょっと待て、今何て言ったんだ??」と止められました。ここで口答えをしたら、連行されるかもしれないと、本当に怖い思いをしました。

 私はこの件があってからしばらくは悔しくて夜も眠れなかったり、思い出して泣いてしまうこともありました。今でもフランスで警察官を見ると嫌な気分になります。

 この話を何人かのフランス人にしたら、「警察は白人にそんなことしない、どこに行っても黒人をそうやって問い詰める」と言われました。もちろん私は日本人ですが、黒人だけでなく、アジア系にも高圧的な態度を取るということなのでしょう。白人にはしない酷い扱いを有色人種にだけするなら、それは人種差別と言わざるをえません。

次ページ:警察官の差別意識

前へ 1 2 3 4 次へ

[3/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。