都知事選で維新“吉村人気”にあやかる「小野泰輔」 Facebookに書き込んだ妻の心配事

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ゲバラのTシャツを着た理由

 北海道新聞(電子版)は6月21日、「勢力拡大へ、攻める維新 『吉村人気』追い風、都知事選に推薦候補 野党保守系とも連携」の記事を配信した。冒頭部分をご紹介しよう。

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《日本維新の会が、勢力拡大へ勢いづいている。新型コロナウイルス対策で注目を集めた副代表の吉村洋文大阪府知事の人気をてこに、7月5日投開票の東京都知事選に推薦候補を擁立。野党の保守系議員との連携も強化している》

 さっそく、府知事と都知事候補者を比較してみよう。2人の経歴を表にした。ご覧いただきたい。

 小学校と中学校は公立、大学は国立で旧帝大、学部も法学部だ。違うのは高校が府立と私立だったことくらいで、非常に良く似た2人と言っていい。

 日本維新の会が、吉村知事ブームに乗って、小野泰輔氏を都知事選に擁立したことが非常によく分かる。

 小野氏は大学を卒業すると、“世界最大の経営コンサルティングファーム”とも言われるアクセンチュアに就職するが、2000年から衆議院議員(当時)だった藤島正之氏(77)の公設秘書を務めた。

 そして08年、人生の転機が訪れる。小野氏は東大法学部時代、当時教授の蒲島郁夫氏(73)のゼミ生だった。その蒲島氏が熊本知事選に立候補することになったのだ。

 蒲島氏が当選後、選挙を手伝った小野氏は熊本県の政策調整参与に就任。そして12年には副知事に起用される。

 朝日新聞の西部本社版は同年6月、「熊本副知事、最年少38歳 蒲島知事、教え子起用へ」の記事を掲載した。(註:引用に際してはデイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)

《熊本県の蒲島郁夫知事は新しい副知事に県政策参与の小野泰輔氏(38)を起用する方針を固めた。県議会に同意を求める議案を提出する。知事が東大教授だった時の教え子で、県によると、就任すれば現職では全国最年少の副知事になる見通しだ》

 一方、ライバル紙の読売新聞は、同じように西部本社版で「副知事案 県議会に懸念も 小野氏起用 若さや行政経験不足」と人事を不安視する記事を掲載した。

《人事案は賛成多数で同意される見通しだが、議員からは国とのパイプの弱体化と、若さと行政経験の少なさを懸念する声が上がった》

 だが、少なくとも小野副知事が仕事に邁進し、「知事の身内びいき」という批判を跳ね返したのは間違いない。

 批判的な記事を掲載した読売新聞は13年12月、「[謹聴熟考・支局長インタビュー]」で小野副知事を取り上げた。

 記事自体は中央集権制の問題点や、都市と地方の比較など、特に目新しいものはない。興味深いのは、この支局長が書いた「後記」だ。

《小野さんは今秋、熊本市で開かれた沖縄音楽のコンサートで三線を披露した。その時に着ていたのは、キューバの革命家、ゲバラのシャツ。そのことを聞くと、「もともと自分はどちらかというと権力の側にいるのは好きじゃない」と笑った。就任時は「若すぎる」という指摘もあったが、その後の働きぶりで批判をはね返したようだ。知事にとっては、有能で、本当に信頼できる側近なのだろう》(註:改行を省略した)。

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