大人気の韓流ドラマ「愛の不時着」は、あの「冬のソナタ」ブームを超えるか?

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北朝鮮を賛美!?

 制作スタッフは脱北者の協力を得て、北朝鮮の日常生活について徹底的に取材を重ねた。その成果がシーンのリアルさとなって現れているという。

「韓国の視聴者は、『北朝鮮の庶民は、こんな日常生活を送っているのか』という関心も高かったようです。また日本語に翻訳するのは不可能ですが、韓国と北朝鮮では言葉づかいが違うんですね。北朝鮮の方言を正確に再現しているのも大きな話題になっているそうです。北朝鮮のおばさんたちが世間話をするシーンなどは、言葉の違いから韓国の人たちは爆笑しながら見ているといいます」(同・児玉さん)

 デイリー新潮は6月5日、「『愛の不時着』フィーバーで『北朝鮮に行きたい』女子が急増? 専門家は警鐘」との記事を配信した。その中に、在韓ジャーナリストの興味深いコメントがある。

《「現在でも韓国では北朝鮮を讃える行為は禁じられており、1月には“国民が扇動された”と、保守系政党が国家保安法違反容疑で告発する騒ぎもありました」》

 児玉さんも、「夢中で見ていても、ふとした拍子に『文在寅大統領(67)のご機嫌を取るためのドラマじゃないのかな』という考えが頭をよぎり、少し醒めてしまったことはありました」と苦笑する。

 はてさて、果たして「愛の不時着」の人気は「冬のソナタ」を超えるのだろうか。児玉さんは「日本で『冬のソナタ』を上回る人気を獲得するのは、やはり難しいと思います」と否定的な見解だ。

「そもそも韓国で『冬のソナタ』は、そこまでの人気作ではありませんでした。日本の大ヒットが韓国で報じられ、首を傾げた韓国人も少なくなかったのです。当時、韓国人は歴史ドラマを好み、日本人の韓流ファンは恋愛ドラマを好む、という傾向がありました。『愛の不時着』は久しぶりの本格派の恋愛ドラマとして、日本人の嗜好にぴったりと合ったことは間違いありません。しかし、日本人が『冬のソナタ』ほどの衝撃を感じているかと言うと、やっぱりスケールは小さいでしょう」

 そもそも2003年にNHKのBS2で放送された時、日本人の誰もが「韓国ドラマ」など知らなかった。

 海外テレビドラマといえば、大半がアメリカで制作されたものばかりだった。そんな中、突然に隣国のテレビドラマがお茶の間で放送されたのだから、日本人の誰もが最初から高い関心を持ち、内容に衝撃を受けた。

「映像、セリフ、音楽の全てが美しく、日本人の好みに合いました。最初はNHKの衛星放送で流されたのですが、人気のためNHK総合で再放送されたことも大きかったと思います。次週の放送を、首を長くして待つ日本人が増え、国民的関心事になりました。一方、ネット配信のNetflixは有料ですし、自分のペースで見ることができます。理論的には不眠不休で一気に最終回まで見ることも可能で、視聴のペースにばらつきがあります。視聴後は配信サイトで新たな韓国ドラマを見るでしょう。他のドラマに目移りしやすい状況なので、どうしても爆発的な盛りあがりに欠けてしまうのではないでしょうか」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年6月14日掲載

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