小池都知事を信じるべきなのか 元都知事「舛添要一」「猪瀬直樹」はこう見る

国内 社会 週刊新潮 2020年6月11日号掲載

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 ここ数日の発言からは、小池知事の風を読む卓越した力がうかがい知れる。緊急事態宣言が解除される前は、日々「気が抜けない状況」「気を引き締めていきたい」と連発していた同じ知事が、感染者数が再び22人にまで増えた5月29日にも、「感染状況の把握が難しい状況には至っていない」「重症患者、入院患者がともに減少傾向で、医療提供体制も十分確保できている」と、自ら真っ先に気を緩めたのだから。

 東京都は新型コロナウイルスに感染しての入院患者数に、自宅やホテルでの療養者ばかりか退院者まで加え、病床使用率を高く見せかけてきた旨を、本誌(週刊新潮)は指摘してきた。だが、同じ29日、「ウィズコロナ宣言」をした彼女が訴えるのは、もはや状況の逼迫度ではないのだろう。

 とはいえ、同じ首都圏でも神奈川や埼玉、千葉の自粛緩和基準よりかなり厳しいロードマップをいち早く作成した小池知事だったはずだが、都政関係者は、

「週平均で1日あたりの新規感染者が20人未満、感染経路不明者が半分未満、感染者増加率が前週にくらべ1未満、という基準を超えたら、東京アラートを出すという話でした。しかし三つの指標の複数が基準を超えても、アラートはなかなか出さず、当初はそれぞれに最低2週間かけると言っていたロードマップのステップを、1週間で1から2に移行。世のなかの自粛疲れの空気をたくみに読んだのだと思います」

 と、変幻自在な変わり身を讃える。事実、感染症に詳しい浜松医療センター院長補佐の矢野邦夫医師は、

「緊急事態宣言を解除すれば、感染者数がある程度増えるのは想定内のはず。過剰に反応する必要はない」

 と述べ、国際医療福祉大大学院の松本哲哉教授も、

「東京アラートは、そう簡単には鳴らせないと思います。せっかく解除された段階で鳴ったら、都民の精神的ダメージや商業的な打撃が大きすぎます」

 風見鶏にして渡り鳥も兼ねる小池女史、専門家たちのこうしたムードを、読み違えるわけがない。そんな彼女は、数値目標など簡単に無視できるらしく、日本感染症学会の専門医で、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は危惧する。

「アラート発令の基準を超えたのに発令しない理由を、小池知事は“総合的に判断した”と言いました。しかし、基準を明確化しないと、危ないのか、危なくないのか、よくわからなくなる恐れがあります」

 34人の新規感染者が出た6月2日、初めてアラートを出してはみたが、先の都政関係者は看破する。

「締めつけも自粛の解除も、定量的ではなく定性的に行うということ。数値目標はあっても決めるのは彼女の腹ひとつ。小池知事は築地市場の豊洲への移転問題が紛糾した際、豊洲の土壌汚染について、数値的には安全でも“安心ではない”と、都民の不安を煽って支持率を上げた。そのときと同じことをしているのです」

 さすがは過去の経験に学ぶ能力も高い。彼女の不安の煽り方に対し、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、

「小池知事のロードマップは、縮尺も方角もぐちゃぐちゃな地図を渡され、知事の“こちらが出口です”という案内通りに歩けば、遠回りさせられた挙句、行き止まりに連れていかれるような政策です」

 と酷評するが、実は、都知事選圧勝という出口にたどり着くように、道は描かれていたはずなのだ。しかも交通が滞りそうな気配を察すると、即座に「ウィズコロナ」を宣言するという微妙なさじ加減が、小池知事流である。もっとも、前都知事の舛添要一氏は、

「東京都はロードマップのステップを2週間に1度しか動かさない、という判断基準が自分のなかにあれば、説明したうえで、それを守るはず。しかし、神奈川や千葉より厳しいと叩かれると、すぐに前倒しで移行してしまう。まったく節操がありません。“ウィズコロナ”というネーミングもひどい。横文字だと注目され、マスコミが飛びつくのを意識しているのでしょう。つまり、彼女の知名度を上げる目的のものですね」

 と、手厳しい。

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