大阪の医療崩壊を巡り「大村」「吉村」知事が舌戦 大村知事が“難クセ”と言われる根拠

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怒りのツイッター連続投稿

 事態が動いたのは、5月26日のことだった。まず大村知事は県の対策本部会議で、いつものように「東京と大阪の医療崩壊」に言及した。

 中日新聞が28日に掲載した記事「コロナ対応巡り 大村知事 『大阪は医療崩壊』 吉村知事 『根拠のない意見』」から引用させていただく。

《大村知事は26日に開いた県の対策本部会議でも「東京や大阪があれだけ感染拡大し、医療崩壊に陥ったにもかかわらず、愛知はそうならなかった」と言及。救急搬送の受け入れ拒否などが報じられた首都圏や関西圏との違いを強調した。会議後の会見でも「どのくらい病院に入りきれていないのか、救急医療を断ったならどういう状況なのか」と情報公開を求め、「しっかり検証されなければならない」と話した》

 こうした大村知事の発言は――中日新聞の記事に比べると分量は少ないが――朝日新聞デジタルも27日、「『東京と大阪は医療崩壊』 大村知事、情報公開求める」との見出しで配信した。

 これに吉村知事が反応した。自身のツイッターにこの記事のリンクを貼り、いきなり大村知事を批判したのだ。

《大阪で医療崩壊は起きていません。何を根拠に言っているのか全く不明です。一生懸命、患者を治療する為、受け入れてくれた大阪の医療関係者に対しても失礼な話です。東京もそうですが。根拠のない意見を披露する前に、県は名古屋市ともう少しうまく連携したら?と思います》

 大村知事も“応戦”した。翌28日の会見では、吉村知事に反論を行った。これを朝日新聞デジタルが、その日の午後、「大村知事『ただ単に言い訳』 医療崩壊否定の吉村知事に」の見出しで速報した。

《愛知県の大村秀章知事は28日の記者会見で、「東京と大阪で医療崩壊が起きている」という自身の発言に対し、大阪府知事と大阪市長がツイッターで反発していることについて、「私は公表されたデータを拝見して申し上げただけ。違うというならデータをもって話すべきだ。そうでなければ、ただ単に言い訳しているに過ぎない」と述べた》

《厚生労働省が都道府県別にまとめた数字や大阪府の公表データを確認したと発言。そのうえで「4月末の陽性患者900人ぐらいのうち入院したのは半分ぐらい。自宅待機が二百何十人もいるのは病院に入りきれていないということ。報道ベースでも4つの救急救命センターが救急を断っているとあった」と指摘した》

《さらに、「病院に入れていないこと、救急を断っている状態」を医療崩壊の定義とし、「間違いなく大阪と東京は医療崩壊の状態にあった。事実関係を検証し、二度とそういう風にならないようにやっていただくのが必要ではないか。日本の要の地域ですから、頑張っていただきたい」と述べた》

 この大村知事の発言を受け、同じ28日に大阪府庁で吉村知事は取材に応じた。日刊スポーツ(電子版)は同日の午後6時17分、「吉村知事『相手せんとこ』大村氏の大阪医療崩壊発言」の見出しで速報した。

《28日、府庁で取材の応じた吉村知事は「感染症が広がったとき、医療状態が逼迫(ひっぱく)したのは事実です。これは東京、大阪に限らずです。医療崩壊が起きて、きちんと看なければいけない人を看ることができていない状況ではない。なぜ、そういうことをおっしゃったのか、理解不能ですので、あんまり相手せんとこ」とあきれ返った》

 記者団の前では「相手せんとこ」と突き放したが、やはり腹に据えかねるところもあったようだ。

 吉村知事は、前に紹介した朝日新聞デジタルの記事「大村知事『ただ単に言い訳』 医療崩壊否定の吉村知事に」を貼りつけ、ツイッターに4連続投稿を行った。

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