突然決まった理美容業界への給付金の背後に「小池知事の恐怖政治」 自民党は激怒

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自民都連は猛反発

 ゴールデンウィーク期間中、都内では休業した理容室や美容室もあり、髪を切るのに困った方も少なくなかったのではないだろう。この政策決定のプロセスを巡って、自民党が「都庁幹部に問題行動があった」などと指摘し、反発を強めていることをご存知だろうか。

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 そもそも理容と美容の休業要請と、その場合に給付金を支給するかについて、東京都では紆余曲折があった。

 NHKのニュースサイト「NHK NEWS WEB」が4月29日に掲載した「自主休業の理容店と美容室に給付金支給へ 東京都1店舗15万円」は、次のように経緯を伝えている。

《東京都は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休業を要請する対象に入っていなかった理容店と美容室について、30日から7日間、毎日自主的に休業した場合、1店舗あたり15万円の給付金を支給することになりました》

 4月28日に支給が決定。マスコミが報じたのは翌29日である。この日は昭和の日で祝日だった。ゴールデンウィークの予約が入っているため困惑した店舗もあったという。

 当初、理容も美容も休業要請の対象ではなかった。ところが急に対象となり、慌てて給付金も支給することが決まったのだ。

 混乱の痕跡は、東京都の公式サイトにも残っている。「防災ホームページ」で《基本的に休止を要請する施設》として記載されているのは、キャバレー、ナイトクラブ、スナック、性風俗店、デリヘル、ネットカフェ――という具合だ。

 一方、《理髪店》と《美容院》は、現在でも《対象外》と明記され、《適切な感染防止対策の協力を要請》するとしている。

 防災ホームページの《対象施設一覧》は4月22日が最新の更新日だ。そのために理容も美容も反映されていないわけだ。

 なぜ都は、これほど強引な政策決定を行ったのか、背景の1つとして、理容・美容業界自体の“迷走”もあったようだ。政治担当の記者が解説する。

「そもそも国は理容室も美容室も営業を続けるべきという立場で、自粛を求めようとしていた都とは一種の対立状態にありました。理容と美容の業界団体も当初、『ゴールデンウィーク中も営業を続けたい』という考えで、その線で政治的な陳情も行っていました。ところが4月上旬、福岡県の美容室で新型コロナのクラスター感染が発生したことで、一気に流れが変わりました」

 一部の消費者は、理容室・美容室の先行きが不透明だと敏感に察知、店舗によっては4月上旬に駆け込み需用が発生した。そのため中旬以降は反動で、特に都内では大幅に客足が減少したところも少なくなかったという。

 大手チェーン店は自主的に臨時休業を決めるなど、業界としての足並みも乱れた。さらに福岡の美容室でクラスター感染が発生したことから、理容師や美容師の感染リスクも浮上した。

「この結果、理容・美容の業界団体は『少なくとも東京都の場合はゴールデンウィーク中の営業自粛に応じ、給付金を得たほうが現実的』と方針を転換します。そもそも理容・美容業界は自民党と密接な関係を構築してきたので、都議会でも自民都連や公明党に陳情しました。ところが、その後に思わぬ展開が発生するのです」(同・政治担当記者)

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