【コロナ禍】ワシが緊急事態宣言は必要なしと主張する理由……小林よしのり氏インタビュー

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最初に訴えた「中国人入国禁止」

 小林氏の初連載は、集英社の「週刊少年ジャンプ」に1976年から79年まで掲載された「東大一直線」であることは、よく知られている。

 そのジャンプは、4月8日に編集部の40代社員について《感染の疑いがある》、《PCR検査待ち》などと発表した。

 このため20日に発売予定だったジャンプの発売を1週間延期し、27日に合併号を発売する予定だとした。

 講談社も14日には、政府の緊急事態宣言などを受けて「モーニングツー」など漫画誌の増刊誌など10誌の刊行と配信の延期、更に「小説現代」6月号も7月号との合併号とし、刊行日を延期すると発表した。

「自分の作品が載っているわけではないけれど、雑誌で仕事をしている人間としては、他人事ではありません。編集部員が1人でも感染したら、もしくは感染の疑いがあるだけで、雑誌の発行が丸ごと延期になる可能性がある。これは、どう考えても、やっぱり滅茶苦茶でしょう」(同・小林氏)

 そもそも小林氏は、新型コロナウイルスが中国の国内問題として注目が集まった1月に、「中国人の入国禁止」を訴えていた。

 公式ブログでは1月29日に「日本は中国人旅行客を入国禁止にすべきでは?」が掲載されている。

《武漢からの団体旅行客を乗せた日本のバス運転手がコロナウィルスに感染したという。中国は団体旅行客の渡航を禁止しているようだが、奇妙なことに日本は受け入れ続けている。なぜ日本政府は中国からの旅行客を一時的に入国禁止にしないのだろう? 人権真理教のリベラル左翼が「ヘイト」と非難するのが怖くて、できないのか?》

《中国人は日本滞在中もみんなマスクをつけているが、日本人はつけていない。やっぱり日本人は平和ボケなんだろう。銀座に出ていく用事があるが、銀座は中国人で溢れかえっているから怖い》

「グローバリズムの弊害は20年間、常に指摘してきました。京都が好きなので、インバウンド重視の危険性や、観光公害の問題にも高い関心を持っていました。そこに武漢で新型コロナが発生し、春節を迎えたわけです。私は真っ先に『中国人の入国禁止』を訴えましたが、誰も耳を傾けてくれなかった。それどころか排外主義だと強く非難された。そして春節が到来し、日本国内でマスクを付けた大量の中国人観光客を見た時には、率直に言って、ぞっとしましたよ」(同・小林氏)

 中国人の入国禁止という「最善の策」を、日本政府は行使することができなかった。ならば「次善の策」を自分の頭で考え続けることが必要だ、と小林氏は主張する。

「未知のウイルスですから、理屈抜きに怖いという人がいてもおかしくないでしょう。しかし、それで終わっては駄目です。自分自身の頭で『本当に恐ろしいのか?』と考え続ける必要があります。感染者数は増えてもおかしくありません。だから死者数だけを注視していました。すると欧米に比べても非常に少ないし、インフルエンザと比較すれば桁違いだということが分かるわけです」

 厚生労働省の「新型インフルエンザに関するQ&A」というページには、以下のような記述がある。

《例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です》

《また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています》

「テレビは一般大衆に恐怖を植え付ける報道を繰り返し、右派の論客でさえ新型コロナを非科学的に恐れてしまっています。しかし、国内の死者数は200人超です。新型コロナで直接、及び間接的に死亡した日本人が、インフルエンザと同じように年間1万人に達するなら、もちろんワシも恐れます。しかし、今の死亡者数を考えると、新型コロナを必要以上に怖がる必要はないという結論になるはずです」(同・小林氏)

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