【コロナ禍】外出制限でDV急増のフランス 「マスク19」の合言葉で薬局が果たす重要な役割

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 コロナウイルスの世界的な流行により、外出制限や自粛の影響で夫婦喧嘩や離婚が増えたというニュースをよく耳にします。

 単に一緒にいる時間が長くなったからではなく、未知のウイルスに対する不安、経済的心配や外に出られないストレス、子どもがいるカップルにとっては育児に伴うストレスの増加…様々な理由で喧嘩や離婚が増えているのは悲しいことです。

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 一方、フランスでは喧嘩や離婚よりも家庭内暴力(DV)の増加が問題になっています。背景には、どちらかが外に出ていくか、一生の別れを決めて即離婚、というわけにはいかないフランス特有の事情があるようです。

 ご承知のように、フランスは外出制限が厳しく、外に出るのにも証明書が必要です。カッとなったからといって証明書を持たずに外に飛び出せば罰金を取られるかもしれません。

 またこちらでは事実婚も多いのですが、正式に結婚しているカップルが離婚する場合、弁護士が間に入るので時間もかかります。不要不急の外出ができないフランスで今すぐ離婚しよう、というのは現実的ではありません。その結果、DVが増えているのではないでしょうか。

 専門家は、暴力を振るうパートナーが家にいるため、警察や被害相談ダイヤルに電話をかけるなど助けを求めることができない女性が多いのでは、と分析しています。

外出制限によりDVは増加。5倍の通報と48%増の警察介入

 クリストフ・カスタナー内務大臣によれば、フランスでコロナウイルスによる外出制限が始まった3月17日以降、1週間で32%(パリ地域では36%)DV件数が増加しました。警察がDV事案で介入したケースも48%増加したと発表しています。さらに政府が設置しているDV被害相談のチャットサービスへの相談件数は、2019年は54件だったのに対し、今年はすでに759件に達しているそうです。DV被害通報ダイヤル「3919」には3月21日から4月10日までの間に6300件以上の電話がありました。

 外出制限が始まった翌週には、夫が81歳の妻を殺害、男性が2人の子供の前でパートナーを刺殺した後自殺した事件など、すでにDVによる殺人事件も起きています。警察へのDV通報件数は外出制限が始まった3月17日から1か月で、通常時の5倍に増加しています。

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