WHO上級顧問・渋谷教授、政府クラスター班・西浦教授が発した数字のマジック

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感染者数は1300万人以上に

大場:厚生労働省管轄下にある新型コロナクラスター班の西浦博・北海道大学衛生学教授の会見での発言にも驚きました。

 西浦氏は4月15日、〈8割の行動制限を各々で強いないと、感染コントロールを早期に収束させることは難しい。もし全く何も対策をとらなければ、新型コロナウイルス感染で重症化する人が85万人、うち42万人近い死亡リスクがある〉などと話しましたね。

増富:個人的には算出の根拠になる数理モデル自体を全く勉強もしていないし理解もできていないので、科学的に公平な言及はできないです。極めて感覚的な発言ですが、85万人が重篤化してそのうち40万人以上が亡くなるという、「数だけ」理論でいえば強い恐怖感を覚えます。

 仮にもし42万人の方が亡くなるとすると、日本での致死率を現状よりも悪く3%に見積もったとしても(4月20日現在の実際は2%程度ですが)、感染者数は1300万人以上になるという話。恐怖を感じざるをえません。

 きっと極めて難解な理論で、一般向けに簡単には説明できないのかもしれませんが、ある程度の背景となる数理の解説をわかりやすく国民に向けて示さなければ、「数だけ議論」が先行して危険だと思います。

大場:僕も同様な意見です。すでに国民一人ひとりが様々な行動制限を強いられている最中、丸腰状態のシナリオを持ち出してきて、大きな数字でリスクを煽るやり方には感心できませんね。

 国民全員に危機感を共感してもらい、より「人と人との接触を避ける」行動変容を促すためのプレゼンとしては問題があったように思います。

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