星野源、EXITにキムタク…コロナ対策で男を上げた面々に見る新時代の「軽さ」

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共通点はフットワークの「軽い」男たち 彼らが示した新しいエンタテイメントの形と光

 他にも庄司智春が始めた「ギャグつなぎ」も素晴らしい試みだ。事務所や芸歴を超えて、つながり続ける笑いの輪。個人的には世代だけに、東野幸治の体を張りすぎた懐かしネタにグッときた。そしてその想いに応える形で「イタリア人」ネタを披露した山ちゃんの男気にもグラッチェ、と言いたくなる。ウドちゃんは可愛いし、藤井隆は熱量と礼儀正しさが伝わる。椿鬼奴は最高だ。狩野英孝、絶対ネタにされているご本人はやらないだろうが憎めない。レイザーラモンRGは「うちで踊ろう」にも参加している。一つ言えることは、どっちのRGもすごくいい。

 これらの企画は、人気の男性たちがやったから話題になった側面はある。しかしむしろ、成功の秘訣は彼らのフットワークの軽さによるところが大きいだろう。どの企画も、テレビではできなかった。SNSのスピードがなくては成立しなかったのだ。そして、急ぎで作ったお手製感あふれる表現だからこそ、心に訴える力も大きかったのではないだろうか。

 まず、芸能人のプライベートが見られるというおトク感がある。自宅から配信したタレントも多く、インテリアや家の雰囲気を見てワクワクした人もたくさんいたことだろう。さらにコラボ相手との交友関係や仲の良さを垣間見れたことで、心和んだ人もいるはずだ。

 そしてもう一つ大事な点は、有名無名問わず才能の「出番」を作ったことである。「うちで踊ろう」「ギャグつなぎ」にもさまざまな人が参加していたが、あまり知られていないクリエイターにも等しく光が当たる場所になっていた。私自身も、「この人こんな楽器も弾けるんだ」とか「この人知らなかったけど、アレンジ好きだな」とか「コンビ名を見たことなかったけど面白い」というようなワクワクする発見が数多くあったものだ。コロナ禍で業界全体が萎縮し、表現の場が減っている中で、こうした「舞台」を作ったことは、新しいエンタテイメントの形と希望を示したのではないか。もちろん、子どもでも参加できるフォーマットを作った、ジャニーズの手洗い動画も同様である。

「人と人との間を最も縮めるものは笑い」。そんなデンマークの作曲家のことばがあるという。ソーシャル・ディスタンシングで生じた心の隙間を埋めるように、フットワーク軽く動く男たちが頼もしい。そういえば大阪府の知事・吉村洋文氏も、迅速な対応で喝采を浴びている。彼らの軽やかな動きを見習って、コロナウイルスには早々に退場いただきたいものである。

(冨士海ネコ)

2020年4月19日掲載

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