富川キャスター感染 「接触を8割減に」を訴えるテレビの欺瞞

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原稿は1人でも読める

 そもそも彼ら、彼女らは決まった原稿を読む仕事。こんなに人数が必要なのか、というのはこうした事態になる前から指摘されていたことである。お天気もスポーツも読むのに国家資格も何も要らないのだ。

 かつて、テレビのニュースはもっと無味乾燥なものだった。そこに演出的な要素が盛り込まれるようになったのは、「ニュースセンター9時」(NHK:1974年~)とも「ニュースステーション」(テレビ朝日:1985年~)とも言われる。

 前者の場合、初代メインキャスターはNHK職員の磯村尚徳氏で、当初パートナーの女性は不在。ただし、スポーツ担当(男性)とお天気担当(女性)はいたようだ。

 後者は久米宏と小宮悦子のコンビで人気を博した。そこにさらにスポーツ担当、お天気担当、コメンテーター等々がそろうようになった。「ニュースウオッチ9」に限らず、現在、多くのニュース番組は「ニュースステーション」の亜流だとも言えそうだ。

 そして「8割減」が叫ばれる中、主要ニュース番組のキャスター陣の出演態勢を見てみると、以下の通り(すべて4月8日)。

「ニュースウオッチ9」(NHK)
スタジオ出演者5名
(内訳)キャスター2名、解説者1名、お天気担当1名、スポーツキャスター1名

「報道ステーション」(テレビ朝日)
スタジオ出演者6名
(内訳)キャスター3名、解説者1名、お天気担当1名、スポーツキャスター1名

「news zero」(日本テレビ)
スタジオ出演者6名
(内訳)キャスター2名、解説者2名、お天気担当1名、スポーツキャスター1名

「news23」(TBS)
スタジオ出演者2名
(内訳)キャスター2名  ※小川彩佳アナなど他の出演者3名は別スタジオから

「Live News it!」(フジテレビ)
スタジオ出演者7名
(内訳)キャスター3名、解説者2名、お天気担当2名

「news23」が比較的コンパクトにまとまっているが、他は相変わらずスタジオ内に複数の原稿を読む人たちを配置しているようだ。常に男女がペアで座っている構図は、あたかも彼らが批判している「夜のお店」にも似ている。

 もちろん、現場では感染しないよう苦心をして、配慮はなされているのだろう。しかしながら、一般の企業が「お国の方針だから」とヒイヒイ言いながら慣れぬリモートワークや時差出勤に取り組んでいる中「自粛」を呼び掛けている当人たちが、頼まれもしないのに元気に勢ぞろい、というのでいいのだろうか。

 とりあえず、スタジオの人員を4名から1名にすれば接触率は格段に下がるし、メッセージがより説得力をもつというものではないか。

デイリー新潮取材班

2020年4月14日掲載

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