スカーレット「戸田恵梨香」は違和感ナシの◎ 朝ドラ女優に立ちはだかる“老け役問題”

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ヒロインの実年齢と役年齢

 言うまでもないが、広瀬も新人ではなく、戸田同様オーディションなしでヒロインに起用された。

「朝ドラでは18年後期の『まんぷく』以来、3作連続でヒロインはオーディションなしの一本釣りで決まっています。『まんぷく』の安藤サクラは、“朝ドラ史上初のママさんヒロイン”と言われました。当時、実年齢が32歳の彼女は、18歳から50代までを演じました。彼女も歳を重ねていたため違和感はありませんでしたね」(同)

 クランクイン後の記者会見では、安藤も役年齢18歳についてはこう語っていた。

《……18歳という年齢がちょっと不安。正直に言いますが、私は32歳の子持ちです。悪あがきしても仕方ないし、なかなかできない経験なので18歳を楽しみたいと思います》

 実年齢が30歳を超えたヒロインは番組後半に評判が上がり、10代のヒロインは後半に評判が落ちるのだろうか。

「確かにそういう傾向はあります。ロケットダッシュでスタートしたもののジリジリと数字を落としていくより、終わりよければすべてよしと言われるように、終盤の評価が高いほうが番組全体の評価は高まります。朝ドラが新人女優の登竜門と言われ、オーディションで10代の新人を起用していた頃は、スタート時の評価は上々でも終盤の老け役で無理をする傾向が強かった。『半分、青い。』(18年前期)の永野芽郁は当時18歳でしたが、40歳まで演じました。彼女も童顔なのでちょっとキツかったですね。『べっぴんさん』(16年後期)の芳根京子は19歳なのに孫までできた。『わろてんか』(17年後期)の葵わかなは、実年齢19で母となり息子は5歳年上の成田凌。ここまで来れば彼女の責任とは言えませんが、非難囂々でした」(同)

 となると、やはり30代以上の女優が無難ということか。

「実年齢が20代半ばのヒロインが演じた老け役も、それほど評判が悪くありません。今世紀最高視聴率(23・5%)の『あさが来た』(16年前期)の波瑠は当時24歳で52歳までを演じ、『花子とアン』(14年前期)の吉高由里子も25歳で52歳まで立派に演じていました。一方、当時30歳の尾野真千子がヒロインを務めた『カーネーション』(11年後期)は、突然予告もなくヒロインが夏木マリに替わって驚きました。交替の真相はいまだにわかりませんが、さすがに尾野も、30歳の若さで90代まで演じるのは難しかったのでしょう」(同)

 役年齢は何歳まで演じるかによって、ヒロインの実年齢を考えたほうが良いのかもしれない。朝ドラではないが、11年の大河『江~姫たちの戦国~』では、当時24歳だった主演の上野樹里が6歳から演じたことで、物議を醸したことがあった。

「そうでしょうね。近年はネット上で勝手放題言われますからね。かつてのように、ヒロインの成長とともに、それを演じる新人女優も育っていくのを視聴者が見守るという余裕はなくなりつつありますから。それにNHKにも働き方改革が導入され、収録時間が短縮され、朝ドラの次回作からは月~土の週6話ではなく、月~金の週5話に。半年かけて新人を育てるという余裕はなくなっています」(同)

 ちなみに、4月からの「エール」は作曲家・古関裕而夫妻を描く。主演は窪田正孝(31)だ。ヒロインはオーディションで選ばれているが、すでにベテランの域にある二階堂ふみ(25)である。新鮮味はあまりないけれど失敗も少ないだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年3月29日掲載

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