アベ大恐慌から家計を守る防衛術 保険、スマホ、車を見直し…コロナ相場で投資も?

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車は売るべし

 節約アドバイザーの丸山晴美氏が言及するのは“車”の扱いについてだ。

「都内に住んでいて週末しか車に乗らない方は、思い切って売ってしまうべきだと思います。車はローンの支払いだけでなく、自動車保険や車検費用、ガソリン代にタイヤの交換代など、とにかく維持費の負担が大きい。都心であれば駐車場代だけで5万円、少し郊外でも2万円前後は掛かります。最低でも年間50万円の出費ですからタクシーを利用した方が安上がりなこともある。その点、カーシェアリングなら15分200円台から借りられて、他の経費は必要ありません。車が生活や通勤の足となっている家庭では、エコカー減税が適用されない自家用車から軽自動車に乗り換えるだけでも重量税の節約につながります」

 最後に、プロが頭を抱えるような相場であることは承知の上で株の運用について触れてみたい。株式評論家の植木靖男氏によれば、

「今回の暴落は1987年のブラックマンデー級です。とはいえ、個人的にはこの辺りが“セリングクライマックス”、つまり、底値ではないかと考えています。8割の人が大騒ぎしている時に、落ち着いていた2割の人が勝つ。これが株取引の鉄則です。下落が続けば不安は募るでしょうが、保有している株を売るべきではありません。株価はいつか戻るからです。もし経済的に余裕があるのなら、いまは買い時でもあります。ただ、業種や銘柄を限定して個別株を買うのはさすがにリスクが高い。コロナショックの影響で倒産の可能性もありますから、日経平均株価に連動するETF(上場投資信託)に投資するのがいいと思います」

 確かに、日銀が大量に買い込んでいるのもこれだ。

 また、2005年に元手800万円から株式投資を始め、総利益が35億円を突破した個人投資家のテスタ氏はこう語る。

「いまは新型コロナウイルスの恐怖が招いたパニックで、誰もが売りに走っている状態。欧米を含めて感染拡大が頭打ちになったり、ワクチンが開発されるといった直接的な好材料がない限り、どんな経済対策を講じても株式市場を巡る状況は変わらないと思います」

 凄腕トレーダーも、まだ市場に復調の兆しは見えないという。ただ、株自体は購入しているそうで、

「日経平均が2万2千円を割ってから、500円下がるたびに2500万円ずつ2銘柄を買っています。1万円まで下げても買い続けるつもりです」

 テスタ氏がブログで公開する記録によれば、2万円を割り込んだ3月9日以降に購入したのはJR東日本、長谷工、三菱重工、第一生命、ブリヂストンなど。

「他にも、コロナの影響がない業種にもかかわらず値を下げている銘柄は狙い目かもしれません。たとえば、ネットゲームや動画配信サイトの関連株は多くの人々が外出を控えるなか、むしろ利益を上げている可能性もある。私の場合は、配当利回りや時価総額、毎年の利益にブレがないかなどを考慮して、新型コロナウイルスの影響を受けてもおそらく潰れないであろう会社を選んでいます。常に最悪の事態を想定しながら、不測の事態が起きても“生き残れる”ように心がけるべきです」(同)

 また、別の投資家も、

「インバウンドへの影響を懸念して、資生堂株は年初から2千円以上下げています。ただ、2月に発表した昨年の業績は過去最高更新で、今後の反発はありうる。また、ディズニーランドの休園が続くオリエンタルランド株も年初から4千円近く下落しましたが、コロナ問題が収束すれば大きく戻す可能性がある」

 コロナ禍と「アベ大恐慌」がもたらす長い“冬”。自らの力で生活を守り、乗り越えるしかない。

週刊新潮 2020年3月26日号掲載

特集「『新型コロナ』との消耗戦 『アベ大恐慌』に備えよ」より

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