新型コロナ「PCR検査」拡大で日本は韓国の二の舞 医師が慄く院内感染、医療崩壊…

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「封じ込めは無理」

 しかし、重症者や亡くなる人もいる現状についてはこう警鐘を鳴らす。

「心臓や腎臓などの病気を患っていたり抗がん剤治療中だったりする人は免疫力が下がりがちです。また高齢で低い人もいます。そういう人は、体にウイルスに対する抗体が出来るまでに重症化してしまうことがあるのです。また、健康な人の中にも100人から200人に1人、免疫力の低い人がいます。1年に2度も3度も風邪を引く人がいるでしょ。そういう人も気を付けなければならない」

 また、季節性インフルエンザでも毎年、死者が発生していることも知っておくべきだろう。日本でインフルエンザに感染する人は、ここ数年、毎年1千万人を超えており、昨年冬には約3千人が亡くなっている。そのうち、昨年1月だけで1685人、実に毎日54人が亡くなっていたという。「インフルエンザが流行っており警戒が必要です」などといった報道はあっても、これらの事実はテレビでも取り立てて大きくは扱われず、社会全体に不安が蔓延することもない。ワクチンや抗ウイルス剤があるにもかかわらず、実態はこれだけ死亡者が出ているのだ。

 一方で、新型コロナウイルスへは医学的な「未知」が恐怖の根底にある。

 感染を拡大させやすいウイルスは、一般に症状は軽いといわれる。今回も、軽症で済む人が約8割と安倍首相自身が会見で述べている。無自覚な軽症者が普段通り仕事をして、動き回るゆえに拡大するならば、過去のコロナウイルス疾患であるSARS、MERSと比較して救いといえる。実際、致死率は低い。過度に恐れる必要はないのだ。

 だが、2月26日に政府が集会やイベントの自粛を要請して以降、無観客試合をしたり、大会そのものが中止になったりしている。

 奥村氏が再び言う。

「無観客試合というのは、『頭隠して尻隠さず』というものですよ。うまくいけば感染を減らせます。が、選手本人、関係者、マスコミなど何人も出入りしますから、万一、誰か一人が感染していれば、時とともにまた広がっていくのでは」

 終息への見立てはこうだ。

「インフルエンザの流行を基準に考えてほしい。通常11月頃から始まり翌年3月末頃に終息します。ただ今回、休校や休業の要請、集会、イベントの中止で封じ込めをやろうとしたため、感染拡大のペースが緩くなり、その分、感染が広まるのに時間がかかり、終息は1~2カ月遅くなるのではと見ています」(同)

 つまりは、日本全土に広がってのち終息するしかないということか。

「乱暴な言いかたをすれば、そうです。封じ込められれば幸いですが、今回、それは無理でしょう。止めることが出来ない結果、ウイルスがいきわたり、症状が出ない人、軽症で済む人、重症にまでなる人が出きって、終息に向かうのです」(同)

 彼は免疫についての本を何冊も書いている。どうすれば、自身の免疫力を高められるのか、最後に聞いた。

「普通に健康な人は十分高い免疫力を持っています。人類が幾多の細菌・ウイルスと戦い、長期間かけて獲得したものです。強いて言えば、くよくよしない、悪いことが起きても自分を責めてばかりいないなど、精神的なストレスを溜めないこと。狭いところに閉じこめられるのも大きなストレスになります」

 そう言って、いつもの当たり前の暮らし方でよいと奥村氏は強調するのだ。

石高健次(いしだかけんじ)
ジャーナリスト。1974年朝日放送入社。「サンデープロジェクト」の特集をはじめ、2011年退社まで数多くのドキュメンタリーを手掛ける。横田めぐみさん拉致報道で97年新聞協会賞。アスベストによる健康被害を掘り起こし、06年科学ジャーナリスト賞。

週刊新潮 2020年3月26日号掲載

特集「『新型コロナ』との消耗戦 『PCR検査』拡大で日本は韓国の二の舞」より

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