コロナ大恐慌 インバウンド壊滅、さらに地方経済も苦境に…

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「あと3カ月続いたら…」

 中国人などに人気のあった青森県の観光スポット「津軽藩ねぷた村」も経営状況は厳しい。

「前年同月比で1月はマイナス15・4%、2月はマイナス19・6%で、3月はマイナス70%になる見込みです。クルーズ船が青森港に寄港し、そこからバスで来る団体客が多かったんですが、4月に予定されていたクルーズ船5隻も全部キャンセルとなりました。2月初めに、うちの従業員が台湾に行き、施設をアピールするイベントに参加したんですが、その際に台湾側の担当者から、『2月だけじゃなく、少なくとも6月までは台湾からそちらに行く人はいなくなると思う』と言われています。先が見通せません」(同施設理事長の中村元彦氏)

 主に中国からのツアー旅行を組んでいた北海道札幌市にある旅行代理店の経営者が、悲痛な面持ちで後を受ける。

「1月後半から徐々にキャンセルが増え、今の時点でツアーは100%キャンセルと悪化しています。北海道は暖かくなる5月頃からが稼ぎ時なんですが、もしあと3カ月今の状態が続いたら、会社を畳まざるを得ないかなと考えています」

 ことほど左様に、沖縄から北海道まで「全滅」状態で、しかもその影響は観光業だけに留まらないという。

 投資ファンド会社「シグマ・キャピタル」のチーフエコノミストである田代秀敏氏は、

「利用客をインバウンドに依存していた地方のホテルの倒産も出てくるでしょう」

 とした上で、こうシミュレーションする。

「それらのホテルのうちチェーン系でないところは地方銀行で資金繰りを行っていました。そもそも疲弊し、インバウンドに頼るしかない面があった地方経済において、ホテルは地銀にとって唯一儲かる投資先でした。そのホテルが倒産すると、一見、観光とは接点がないように見える地銀も苦境に陥ることが予想されます」

 地方経済崩壊すら起きかねないというのだ。

週刊新潮 2020年3月19日号掲載

特集「見えない敵との闘い『コロナ』大恐慌」より

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