やっぱりステーキ、「いきなり!」尻目に東京進出 社長が意気込み語る

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 外食産業の盛衰は激しい。立ち食いステーキで世を席巻した「いきなり!ステーキ」(ペッパーフードサービス)が、大赤字を出して74店舗の閉鎖を明らかにしたのは2月26日のこと。その一方で、沖縄発のステーキチェーンが東京に殴り込みをかけるという。その名も「やっぱりステーキ」。「いきなり!」に行くつもりが間違えて入ってしまいそうな名前だが、沖縄ではこちらのほうが有名だ。値段も「いきなり!」に負けていない。「やっぱり」では千円札1枚で溶岩プレートにのった赤身ステーキと、食べ放題のサラダにライス、スープがついてくる。

 同店を運営するディーズプランニングの義元大蔵社長が言う。

「よく人から聞かれるのですが、『いきなり!ステーキ』さんの名前は全然意識していませんでした。きっかけは、お酒を飲んだ後の締めの食事なんです。皆さん、一杯やったあとラーメンとか蕎麦で締めることがありますよね。それが肉文化のある沖縄ではステーキ。私も、仲間と飲んだ後、何を食べようかと聞かれて“やっぱりステーキさ!”と食べに行く。店名はそこから来ているのです」

 が、沖縄でもステーキは安くはない。だから、居抜きの店舗を使ってぎりぎりまでコストダウンし、さっぱりした赤身ステーキを出せば人気が出るだろうと始めたのが5年前。飲食ビルの廊下を利用し、わずか6席でオープンすると、あれよあれよと言う間に店舗は増え、沖縄から九州、名古屋などに進出。50店舗に手が届くところまできた。

 そして、いよいよ激戦地の東京というわけである。「いきなり!」はもちろん、他のステーキチェーンもひしめく中で、成算はあるのか。

「まだ場所は言えませんが、オープンは5月上旬と決めてあります。東京は土地が高いので、すぐに23区内というのは難しい。だから、郊外になると思います。東京進出を明らかにしたことで『いきなり!ステーキ』との対決という風に話題にされるようですが、向こうは500店に迫る大手。全くスタイルが違いますので自分たちがやれることを精一杯やるだけ」(同)

 そこで、迎え撃つ「いきなり!」に聞くと、

「当社もリーズナブルなステーキを日本中に広めてきた自負があります。お互い競って、ステーキ文化を定着させたい」(ペッパーフードサービスの広報担当者)

 赤字でもそこはチェーン最大手。いきなり挑戦状を突き付けられても余裕を見せるのであった。

週刊新潮 2020年3月12日号掲載

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