新型肺炎も口実に? 世論無視で“愛子天皇潰し”を狙う安倍政権

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新型肺炎も口実に?

 確かに今上陛下まで126代、皇統が男系によって連綿と続いている事実はむろん重い。先人の築いてきた日々の積み重ねが歴史を作るのであり、長きにわたって紡がれてきたその伝統を、たとえば「戦後」という七十余年のうちに根付いた「男女同権」といった一時代の価値観のみに囚われて切り崩すようなことは、厳に慎まねばなるまい。何となれば、皇統の継承という行為は、そうした浅い歴史を超越したところで、脈々と営まれてきたからである。

 それでも、8割の世論から耳を塞ぎ、秘密裏にことを進めて「愛子天皇」議論を闇に葬ろうという政権の手法は、およそ真っ当とは言い難い。そもそも何故、公開の場で堂々と意見を戦わせないのか。

 2016年から開催された「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」で座長代理を務めた御厨貴・東大名誉教授が言う。

「菅官房長官が『立皇嗣の礼の後に本格的な議論に入る』と答弁しましたが、具体的に進展するとはとても思えません。本来必要なプロセスは、きちんと有識者会議を開くことであり、非公式の聞き取りを重ねても本格的な議論とは言えない。専門家は誰で何人くらい、どういった意見が上がったのかが全く不明で、これでは何もしていないのと同じです。そう答えるわけにもいかないので『内容は一切公表しませんが、聞き取りはやっています』という形にしたいのでしょう」

 さらに、こう指摘する。

「安倍総理は、議論をとにかく先送りしたいのだと思います。御代替わりに伴い、皇室への国民全体の関心が高まっています。ですが、8割の世論に反対の立場をとる総理は、下手に動いて国民の支持を失うことを恐れている。むしろ、国民の注目が集まっていない時にこっそり進めてしまいたいというのが本音でしょう」

 加えて目下、新型肺炎関連で政府の対応が批判を浴びていることから、

「そんな状況下で皇室の議論を持ち出しては、支持率低下に拍車が掛かりかねない。火中の栗を拾うようなまねは絶対に避けたいと考えているはずです。4月の立皇嗣の礼の頃も新型肺炎の影響は続いているかもしれず“大変な時期に皇室の話題を出すべきではない”という風潮にならないとも限らない。もっとも、総理にしてみれば肺炎騒動も『再び先送りする大義名分ができた』くらいに考えているかもしれません」

 実態がどれほど伴っているのか定かでない80%という数字を必要以上に恐れ、身をかわそうというわけだ。

週刊新潮 2020年3月5日号掲載

特集「『愛子天皇』議論を闇に葬った『安倍官邸』」より

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