【新型コロナ】海外メディアは東京五輪中止を想定 組織委事務局長を「子供じみている」と批判

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批判された武藤事務総長の発言

 デイリー・テレグラフが報じた記事の一部を翻訳してご紹介しよう。

《イギリスを代表する公衆衛生の専門家の1人は東京五輪の組織委を批判した。コロナウイルスの懸念にもかかわらず、オリンピック中止の可能性を除外しているからだ。

 イングランド北西部で公衆衛生の責任者を務めたジョン・アシュトン博士は、東京五輪組織委の最高責任者が「五輪延期について考慮さえしていない」と発言したのは賢明な判断ではなかった、と指摘した。

 武藤敏郎は――日本におけるスポーツ関係の責任者も全く同じだが――コロナウイルスの感染率が上昇傾向にある間は「想定外のことも想定すべき」である、とアシュトン博士は付け加えた》

 そしてアシュトン博士は東京五輪の組織委に“警告”を行う。

《「現時点で、感染拡大を止める方法はありません。今後5か月で感染の勢いが増した場合、彼らは何をすべきか計画を立てる必要があります。ひょっとしたら、東京五輪は無観客試合としなければならないのかもしれません。誰も予知などできませんが、計画は立てておく必要があるのです」

 伝染病は1年間か、あるいはそれ以上の期間、猛威を振るうかもしれない。にもかかわらず、大会中止の計画を策定できなかったとしたら、それは「子供じみています」と彼(註:アシュトン博士)は言い添えた。

「スポーツの実行委員会なら、想定外のことを想定し続ける必要があります。これが私のアドバイスです」》

 東日本大震災を経験した日本人にとって、「想定外の事態を想定できるよう、考え続けることが重要」という指摘は、一聴の価値はあるかもしれない。

 博士は組織委を「子供じみた」と評したが、ちなみに原文は「チャイルドライク(childlike)」の単語を使っている。

 英和辞典『プログレッシブ英和中辞典〔第2版〕』(小学館)は、childlikeの意味として《<無邪気・率直さなどが>子供のような[らしい]:子供向きの[にふさわしい]》と定義している。

 東京五輪の開催者が面子にこだわり、開催以外の選択肢を考えもしない現状への皮肉なのは明らかだろう。

 デイリー・テレグラフの報道に、次はニューズウィークが続く。アメリカの公式サイトでは2月19日、以下のようなタイトルの記事が掲載された。

「2020年のオリンピックは中止か? 『ウイルスの恐怖で、今ならオリンピックの開催は不可能』と科学者は指摘」
(WILL THE 2020 OLYMPICS BE CANCELLED? CORONAVIRUS FEARS MEAN TOKYO GAMES COULDN'T BE HELD NOW, SAYS SCIENTIST)

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