中野区PRキャラ「ナカノさん」二度見する違和感

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 熊本県のPRキャラクター「くまモン」誕生から10年。ゆるキャラグランプリへのエントリーは千体を超え、今や町おこしの重要なツールになっているのだとか。昨年2月、東京・中野区もPRキャラを発表したが、区議会から批判の声が上がっている。

 中野区のPRキャラ「ナカノさん」は身長44センチ、体重525グラムで、半袖シャツにハーフパンツ、スニーカー姿の人形だ。“人形の世界から中野区に憧れてやってきた”らしく、年齢や性別は設定されていない。ちなみに、制作は著名な人形作家の清水真理さんに依頼したという。

“生みの親”の中野区産業観光課の担当者によれば、

「2018年度から、区の魅力を内外に伝えるシティプロモーション事業を始めました。その一環で制作したナカノさんが区内の名所に赴きツイッターなどで情報を発信しています」

 中野区は、ナカノさんの“分身”で身長12センチの「ちびナカノさん」を飲食店に貸し出すなどPRに努めている。が、2月21日時点でインスタグラムのフォロワー数は2576で、ツイッターは3435と寂しい限り。

 区内の飲食店店主も、

「駅前にポスターが沢山張られた時は話題になりましたが、知名度はイマイチ。お客さんからも“顔がリアルで二度見するが、親しみは持てない。まるで大人が使うあの人形みたい”と、評判もいまひとつです」

 ゆるキャラにあらずんば、町おこしのPRキャラにあらずということか。

 この事業は3カ年計画で、18年度に2041万円、19年度に2573万円が投じられ、区産業観光課は20年度も約1700万円を予算要求している。

 1月20日開催の「中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会」でも、与野党双方の議員からPR効果に疑問の声が上がった。

 特別委員会の委員長で、昨年から議会などで質問していた、区議会自民党の大内しんご議員が語る。

「事業の検証を行うのは当然ですが、これまで投じた費用を考えるとすぐに止めるのも難しい。費用が膨らんだ理由の一つは、大手広告代理店に委託しているからだと思います。今後は、外部に頼らず事業を進めていくしかないでしょう」

 中野区は新たにポスター千枚を制作する予定だが、単に傷口を広げるだけではないか。

週刊新潮 2020年2月27日号掲載

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