埼玉県は大野新知事の「あと数マイルプロジェクト」でダサイタマを払拭できるか

国内 社会 2020年2月23日掲載

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川口駅でもすすむ拠点強化

 埼玉県内の市町村で、鉄道関連の政策に動きを見せているのは、さいたま市だけではない。人口60万人を擁する川口市でも川口駅の拠点性を強化する計画を練っている。

 川口市の玄関となる川口駅は、京浜東北線しか停車しない。川口駅は京浜東北線ホームのすぐ隣を高崎線・東北本線(宇都宮線)の電車が通過する。ここにホームを新設し、高崎線や東北本線の電車を停車させようと働きかけているのだ。

 川口駅の1日の平均乗車人員は約8万4000人。朝夕のラッシュ時に遅延などの輸送障害が起きると、すぐに駅のホームは人で溢れてしまう。そのため、川口駅では入場規制がたびたび起きている。人が溢れると、さらなる事故を誘発しかねないからだ。

 そうした事態を回避するべく、かねてから川口市は「京浜東北線の横を走っている湘南新宿ラインを川口駅に停車してほしい」とJR東日本に要望してきた。川口駅に湘南新宿ラインを停車させるには、線路の横にホームを設置するだけで済む。大幅に線路を移設するわけではないから、工費はそれほど大きくならない。

 そうこうしているうちに、2015年3月から上野東京ラインの運行が始まる。

 そうした事態に際して、川口市は中距離電車の停車、つまり湘南新宿ラインと上野東京ライン両方の停車をするように要望を変更した。長い歳月をかけて要望を続けてきた川口市だったが、JR東日本が川口市の要望を受け入れることはなかった。

 しかし、大野県知事が誕生した直後の昨年11月、通算5回目となる要望でJR東日本の姿勢に微妙な変化が現れたという。川口市都市計画部都市交通対策室の担当者は言う。

「これまでの話し合いでは、『川口市の要望は承りました』と言われるぐらいで、門前払いに近い対応でした。しかし、今回の面談では工事費の話も出て、さらに上野東京ラインの停車だけなら~といった話になりました。具体的に話が進んでいるわけではありませんが、一歩前進といったところです」

 このほかにも、埼玉県内の市町村からは延伸計画や新駅開業、駅舎のリニューアルといった鉄道の整備・充実を目的とした政策が次々と打ち出されている。その中には、計画だけで実現しないものもあるだろう。

 しかし、いくつかの計画が実現するだけでも、埼玉県の利便性が向上する。それらが、これまで背負ってきたネガティブなイメージの払拭につながる。

 大野県知事が就任したのは昨年8月。“あと数マイルプロジェクト”が本格的に動き出すのは、来年度からだろう。鉄道政策によって、埼玉県は飛躍できるか?

小川裕夫/フリーランスライター

週刊新潮WEB取材班編集

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