韓国の中学生が島根の中学に送り付けた手紙103通 竹島問題で専門家が抱く危機感

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韓国の中学生が竹島に上陸

 韓国から初めて手紙が届いたのは、2017年5月だったという。

「韓国の全羅南道の咸平(ハムピョン)中学の歴史クラブの生徒から、県内の56の中学の地理・社会の先生宛に送られています。内容は、城門外学校と同様、独島は韓国の領土であることを主張しています。日本の竹島教育も批判していました」(同)

 18年に届いた手紙は、女子中学生からのものだった。

「11月に、世宗特別自治市の鳥致院(チョチウォン)女子中学の41人の中学生から、島根県内の中学生宛てに送られています。それに対し、島根県の竹島問題研究会の座長で拓殖大学の下條正男教授に返信を書いていただきました。昨年届いた6通の手紙についても、現在、下條教授に返信を書いていただいています」(同)

 鳥致院女子中の生徒に送った返信の一部を紹介する。

〈韓国の鳥致院女子中学校の皆さん、41通の葉書をありがとう。一枚一枚、読ませてもらいました。葉書の中には、「これ以上、日本の学生達に歪曲した教科書で教えてはいけない。日本の学生のためにも正しく、良い歴史を教えましょう」といった意見や、「日本の学生が日本政府に、誤った嘘の内容が書かれた教科書だと抗議すべきだ」と書いてくれた人もいて、少し驚いています。(中略)鳥致院女子中学校の皆さんが多くあげていた証拠が、『三国史記』の記録です。『三国史記』(「智証王十三年条」)に、于山国が新羅に編入されたとする記事があるので、新羅の異斯夫が于山国を征服した時、独島も512年に韓国領になったというのです。
 しかし皆さんは、実際に『三国史記』の記事を読んだことがありますか。そこには于山国についての説明があり、「或は名を鬱陵島といい、地方一百里」と記されています。これは于山国が鬱陵島であったこと、于山国の範囲は「地方一百里」で、その広さは行政区域の「郡県」程としています。「地方一百里」の于山国には、独島は含まれていませんでした。〉

 下條教授は韓国の女子中学生に、他人の意見に盲従するのではなく文献や資料を自分の目で見て確認する「文献批判」をすべきだと書き、「文献批判」の成果について、報告を待っていると結んだ。しかし、女子中学生からの返事はなかったという。

「韓国では、2011年から小学3年生から高校生までを対象にして、独島は韓国領であるという教育を行っています。中学生について言えば、年に10回、計10時間の授業を受けています。ただ教えるだけでなく、実践的活動も推奨しています。日本に手紙を送ったのは、その一環でしょう」

 と語るのは、下條教授。

「2006年、韓国で東北アジア歴史財団が設立されました。研究員が60名、スタッフが40名の研究機関で、そこで独島が韓国領土であるというテキストを学生向けに作成しています。島根県の中学に手紙を送った中学生は、みなそのテキストで学んでいます。41名の女子中学生は、手紙を書く前、実際に独島に上陸しています」

 2012年には、ソウルで独島体験館が設立された。

「その体験館でボランティアの中学生が独島問題を解説しています。東北アジア歴史財団のテキストを丸暗記しているのです。彼らは将来、独島問題の専門家になるんじゃないでしょうか。韓国の中学生からの手紙で、最初は地理や社会の教員宛てに送られていましたが、島根の教師は竹島問題の知識がほとんどないので、何も反論できないでしょう。手紙は島根だけでなく、他にもあちこち送っている可能性がありますね。韓国は国をあげて、学生に独島は韓国領という誤った歴史を叩き込んでいます。なのに、日本は何もしようとしない。このままでは本当に竹島が韓国領になってしまいますよ」(同)

 下條教授の危機感は募るばかり。そして、いずれまた韓国から手紙が送り付けられるはずである。

週刊新潮WEB取材班

2020年2月4日掲載

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