「東京ラブストーリー」が新キャストでリメイク SNSでは賛否両論、プロの意見は?

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月9で放送しない理由

 フジテレビにとっては、その後の“視聴率三冠王”につながったというエポックメイキング的なドラマである。しかし、その一方で、「過去の強烈すぎる成功体験」として局を呪縛し続けた作品でもあった。

「フジテレビの栄光と転落を同時に象徴するという点でも、ある意味で特異なドラマだと思います。そのリメイク作品が制作されると聞けば、少なからぬ視聴者が『そっとしておいてほしい』と思うのではないでしょうか。あまりに時代を象徴しているので、当時の社会情勢と切り離されてしまうことに不安や不満を感じるのかもしれません。故・松本清張の原作ドラマが時代の節々に制作され、いつも一定の視聴率や評価を得ているのとは非常に対照的です」(同)

 ツイッターを見ても、もちろん歓迎する意見もあるのだが、懸念や批判的なツイートも相当な数にのぼる。一部をご紹介しよう。

《東京ラブストーリーのリメイクとかやめてくれー。鈴木保奈美にしかリカはできないよ。思い出を汚さないで》

《東京ラブストーリーのリメイク? あれはあの時代だから共感、感動を呼んだドラマであって、現代の20代の価値観とはかなり異なる》

《東京ラブストーリーを今更リメイクしても無理がある。。今の時代に鍋ごとおでん持ってくる女とかストーカーだから》

《バブル時代の年収いくらだよてツッコミたくなるオシャレなマンションに住みハイブランドな服と濃い目のメイク、家までタクシーで帰る、連絡は公衆電話時代のドラマだからよかったんだよ。所詮リメイクの配信じゃ盛り上がらないよ》(註:句読点を補い、改行を削除した)

 碓井教授の指摘と重なる書き込みが目立つわけだが、それでも碓井教授は「お手並み拝見と楽しみな気持ちもあります」と言う。

「リメイクより新作の恋愛ドラマを見たいという気持ちもあります。『使えるものは何でも使ってしまおう』という話題最優先の姿勢に疑問がないわけでもありません。ですが、あの『東京ラブストーリー』を現在にどう移植するかは、やはり見どころでしょう。特に91年版は登場人物が仕事をしている気配が希薄でしたから、リメイク版で改善されるかもしれません。しっかり働きながら恋愛するという人物像が描ければ、2020年という時代にフィットする可能性もあります」

 フジテレビが動画配信を選択したことは、91年版を“社の宝”として大切に扱っている証左だと指摘する。

「もし『月9』でリメイク版を放送し、視聴率が1ケタになってしまったりすれば、会社の財産を毀損してしまうという意識はあると思います。そして、満足のいく視聴回数になれば、深夜ドラマとしてスピンオフさせるなど、フジテレビも次の計画を練っているでしょう。今、なかなかテレビドラマが視聴者に届かない時代です。動画配信で生まれ変わる“新・東京ラブストーリー”がどういう評価を受けるかは、テレビの将来という観点からも注視する必要があると思います」(同)

週刊新潮WEB取材班

2020年2月3日掲載

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