安倍総理「秘書ご子息」の「ゲーセンのケンカ」に捜査1課投入した次期警察庁長官

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捜査員の一人は遂に…

 世田谷署の捜査関係者が明かす。

「被害者の父親が署で職業を聞かれ、“安倍総理の秘書をしていました”と話した。その報告書が本部に上げられたのです」

 実際、

「釣はダイエーからの転職組で、1課長になるまで捜1勤務がゼロ。現場の刑事だったこともない。それに普段から上の顔色ばっかり窺ってるから“ヒラメ”って言われていて、中村刑事部長の言いなりだった。世田谷署からの報告で、(秘)という印のついた政治家案件であることを把握した中村部長が大騒ぎし、一刻の猶予もまかりならんと1課を投入したのでしょう。そして事件解決の“成果”を何らかの形で安倍さんに報告したはずです」

 と前出・別のOBは推察する。送り込まれた精鋭たちは、

「“3日でやれって言うから3日でやり(逮捕し)ましたよ”と振り返っていました」(同)

 図らずも捜1の能力の高さを証明することになったわけだが、現場の捜査員たちには虚しさばかりが残った。だからこそ、その思いを聞かされた同僚らが先輩やOBに打ち明けたくなったのだろう――。

 本誌の捜査班へのアプローチは難渋を極めた。そんな中、“副産物”のようなエピソードが、さる警視庁幹部から得られたのだった。

「どこで聞きつけてきたの? 安倍さんの秘書、正確には過去に政策秘書を務めていた人物なんだけどね。その秘書の息子が被害者である事件に、1課が投入されたのは事実だよ。その中には『官邸ドローン事件』を捜査した者も含まれていた。この事件は、基本的に公安部が担当していたんだけど、その捜査員がたまたまラジコンが趣味で、ドローンの送受信機の仕組みに詳しかった。被疑者特定に一役買ったわけです」

「官邸ドローン事件」とは、15年4月、官邸の屋上にドローンが落下しているのが見つかり、その2日後、容疑者の男が福井県警に出頭した事件を指す。

「捜査員の彼のおかげでドローンが解明できたし、それまでの実績も確かなので上も彼のことはかなり評価していた。その彼も含め、当時の釣課長が信頼していた精鋭たちが現場に投入されたんです。ただ、事件そのものは言っちゃ悪いけど、たんなる暴行事件だからね。なんで彼らが出張らなきゃいけなかったのか。お察しの通り、中村刑事部長の強い意向が働いていた。当然彼らも不満を募らせ、周囲にそれを漏らしていましたよ。“別の事件も抱えているのに、なんで俺たちがやらされるのか”ってね」(同)

 そしてようやく本誌は、この“異例”の捜査に駆り出された捜査員のうちの一人に接触することができた。

「なんで、捜査1課がやったのかって? ふふ……。あの当時、我々は三鷹で起きた性犯罪(前出)とか、飛行機が落っこちた件(15年7月、調布市の民家に小型機が墜落。機長ら3名が死亡した)も捜査していたしね」

 色んな現場を行きつ戻りつする“渡り鳥”生活をひとしきり懐かしんだ後、

「釣さんから、“ちょっと、頼むよ。1日、2日でまとめてくれねえか”って。(安倍総理か中村刑事部長か)どちらかの名前を出したか、あるいは、“こういう案件があったから……”みたいな言い方だった。被害者側がけしかけたようなところがあるケンカだよね。被疑者は成人の男性会社員だったけど、いきなり子供を殴るワケはないでしょう。ただ、こちらも1課の看板を背負っているし、上から言われたんだから、仕方なくやりました。逮捕状を取るためにはこれとあれが必要で……とね。最終的には、3日くらいはかかったけど、暴行で逮捕状を取ったんだよ。被疑者は犯行を認めてすぐに送検。まさか逮捕までとは……って茫然自失だったんじゃないかな」

“3日”と“1日、2日”は誤差として、捜1OBらの話と一致する当事者証言である。世田谷区内にあるゲームセンターの職員にも当時を振り返ってもらうと、

「グランツーリスモ(車の運転シミュレーターゲーム)をやっていた子供が、30代くらいの大柄な男に殴られたことが確かにあった。ただ、子供からちょっかいを出したワケではなく、ゲームに負けた大人がその腹いせに子供に覆いかぶさるようにして殴りかかったのではないか。記憶では1発だけだった。男の名前はわからない」

 本誌は加害者に接触することは出来なかった。しかし、忖度捜査の痕はしっかり残されていたのである。

(2)へつづく

週刊新潮 2019年11月28日号掲載

特集「『官邸の番犬』が前代未聞の忖度捜査! 安倍総理『秘書ご子息』のケンカに捜査1課を投入した次期『警察庁長官』」より

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