朝ドラ「エール」の脚本家が降板 “エンペラー”と言われた演出家との対立が原因

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「エンペラー」と呼ばれていた

 吉田氏は、日経ビジネスアソシエ(18年6月号)で、以下のように自身について語っている。

《……私はスタッフから「一緒に働きたくない」と思われていたはずです。スタッフの意向を一切聞くことなく、すべて自分で決めて自分でやる“オレがオレが人間”でしたから。結果を残していたので、人の話を聞かなくて済んだんです。学生時代から「サラリーマンNEO」が終わる38歳までそんな調子で、現場では「エンペラー」と呼ばれていたくらい》

 なかなかのキャラだ。もちろん、それは変わったという。ドラマ班に移り、これまでのスキルが活かせなくなり、誰も意見を聞いてくれなくなった。「あまちゃん」のロケの移動中に禅の本を読んで、エゴを捨てることを学んだというのだ。

《「そんなことも知らないんですか?」なんて言われたら、私はプライドが高い人間だから、内心はとても穏やかではない(笑)。でも必死だから、「人の話を聞く」習慣をひたすら続けました。/効果はテキメンです。周りが明らかに私に関心を寄せてくれるようになった。何かあるたびに、「吉田さん、どうしますか?」って。それで、当たり前のことに気づいたんです。相手も人間なのでエゴはある。だから私が真摯に耳を傾けると、相手は「自分を見てくれている、この人を信頼しよう」と思うんですよね。つまり「自分のエゴを捨てる」ことは「相手のエゴを満たす」ことにつながり、その結果として自分に見返りがある》(註:改行を省略)

 すっかりキャラ変したはずだったのだが、

「『あまちゃん』の後は、志村けんさん(69)と組んでコント番組『となりのシムラ』を演出したり、NHKを超えて映画『疾風ロンド』では監督と脚本、『探偵はBARにいる3』の監督も務めています。著書も何冊か執筆していますし、そのあたりで、また鼻も高くなって、うるさ型のキャラが復活したのかもしれませんね」(同・関係者)

 ヒットメーカー同士の戦いだったのか。別の関係者は言う。

「日テレも昨年の『ドロ刑―警視庁捜査三課―』で初めて林さんと繋がりを持ち、続く来年1月からの『トップナイフ―天才脳外科医の条件―』は、林さんがNHK朝ドラを降板したと発表された日に制作発表をし、主役の外科医役には天海さんを起用して、絶対に外せないところ。演出には『女王の教室』(05年)、『演歌の女王』を担当して、彼女と馴染みのある大塚恭司さんを持ってきた。来年1月スタートといえば、そろそろ撮影に入る頃でしょう。となると、林さんはいつ、『トップナイフ』の話を受けたのでしょうか。天海さんのスケジュールだって、そうそう簡単には押さえられないでしょう。もし、朝ドラと同時進行ということなら、NHKだって『なめるな!』と腹も立つことでしょう。大河『いだてん』は視聴率的には、もはや破られることはないと思われるほどの不調ですし、朝ドラも前作の『なつぞら』、現在放送中の『スカーレット』にしても、爆発的人気というわけではない。次の朝ドラまでコケたら、NHKとしては目も当てられないでしょうし……」

 NHKと日テレによる、脚本家の囲い込みが原因だったか? 日テレ関係者が言う。

「うちは脚本家と揉めるなんてことはありませんよ。日テレのプロデューサーや演出は、脚本家の言うことをよく聞きます。大ヒットした『ごくせん』シリーズ(02年〜)だって、『家政婦のミタ』(11年)だって、誤解を恐れずに言えば、脚本家の言いなりの作品です。数字さえ取れれば、テレビ局側の意見なんてどうでもいいんです」

週刊新潮WEB取材班

2019年11月11日掲載

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