消費増税の駆け込み買い 「鉄道の定期券」「遊園地・スポーツ観戦チケット」以外は買うべきでない理由

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不正に侵入される

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、

「私はクレジットカードとSuicaなどの交通系ICカードの2種類で十分だと思います」

 そう解説し、不安を払拭してくれる。SuicaやPASMOは、ウェブ上で登録を済ませておけば、鉄道会社を通じて、還元サービスを受けることが可能。クレジットカードも、カード会社によっては、請求時に値引きして銀行口座から引き落としてくれる。「~~ペイ」など、流行のQRコード決済については、

「個人の資産を家だとして、様々なQRコード決済に手を出し、出入り口を多く作れば、それだけ管理の手間が増えます。同時に、不正に侵入される可能性も高まる。大手の7payでもあのような大規模不正利用の被害を受けています。そうしたリスクがある決済は必要ないでしょう」(同)

“キャッシュレス推進派”でブロガー・個人投資家の山本一郎氏も、

「私も7payを使っていて、不正利用の被害を受けました。結局返金されましたが、こうしたトラブルは起こり得ます」

 とした上で、対処法が必要になるほど混乱を招いた、今回の「お上」の仕事ぶりに苦言を呈す。

「いかにもお役所仕事。例えば、ポイント還元事業への申請店の一覧が経産省のHPで公開されましたが、PDFで6千ページに及ぶものでした。国を挙げた政策にしては、乱暴すぎます。軽減税率についても、家で食べれば質素なので8%、外食は贅沢だから10%なんて、想定しているライフスタイルが画一的すぎませんか。所得が少なくても、単身で外食せざるを得ない人も多いはずです」

 なぜこんな制度になってしまったのか。

「本来は議論を促すべき大手新聞が軽減税率の適用で恩恵を受けたために批判も鈍かった。社会保障費が増大する中、検討すべきことはたくさんあったはずなのに、結果的に外食だ、イートインだ、という細かい話に終始してしまいました」(同)

 現代では納税者の理解を得るために税の3原則、

〈公平・中立・簡素〉

 が重視されるという。少なくとも簡素な方法とは言えない今回の増税策。混乱はしばらく続くことになるが、慌てず、騒がず、こそが肝要なようだ。

週刊新潮 2019年9月26日号掲載

特集「『キャッシュレス』に惑わされてはいけない! 現場は大混乱という『消費増税』への対処法」より

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