アラフォーバツイチ女性が再婚相手に自分の姓を名乗ってもらおうとしたら双方の親にガチギレされた件

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姓も生活も変えません

「そっちでも、『絶対にありえない』って話になって。名前を奪おうとすることがどれだけ失礼なことかわかっていない、とにかく理解ができないって。『バツイチだってことも、子供も見込めない可能性が高いってことも知って、受け入れてるのに』って、うちの親が心配していたことをそのまんま言われて(笑)。

 もう仕方なく、夫と話し合い強引にも強行突破することにして、後日『婚姻届を出しました。姓は越野です』って言ったら、もう大慌て。今度は、どういう手続きを取れば、姓を変えられるかっていう話になったけど、無理だってことが判明して、最終的には受け入れてくれました。

 ただ、双方の両親とも怒ってばっかりで、祝福モードとは正反対だったのは、ちょっとさみしいというか、彼に悪いなっていうのと、あと、大人になってから、激しく怒られたことがなかったから、かなりへこみました。人格否定もかなりされたし」

 一方で、友人たちの反応はというと、

「わたしの友人たちは、『へぇ~』って感じ。今これだけ、選択的夫婦別氏制度についての議論が盛り上がってる中での話だから。実際に事実婚する人も増えてるし。彼のほうは、会社に報告したらそれなりに驚かれたみたいだけど。でも、説明が面倒くさいだけで、それも1回したら終わるじゃないですか。業務上では旧姓で通すみたいだし」

 と別段、困るようなことはなにもなかったという。

 では、“姓が変わる”という経験をした本人の芳雄さんは、どう考えているのだろうか。

「わざわざ、すごく凝ったハンコを作ったりしてましたよ。もともと夫は、ポジティブな人なので。いまだに『病院で呼ばれても、まだ慣れないんだよね』とか、初々しいことも言っていますけど。

 あと、最初に、わたしが『苗字を変えたくない』って言っているのが冗談じゃなくて本気だって気が付いたあたりで、妻側の姓に変えた男性のブログとか調べたみたいで。『名前にこだわりがなくて、面白そうだから変えた』っていう人の体験談を見つけて。『こういう人も、世の中にいるんだ』って励みになったって言ってましたね」

 と、夫婦ともに、至って穏やかな結婚生活が送れているという。

 自分たちが納得する結婚の形を話し合い、周囲の圧力に負けることなく、それを貫き通すのは、主体性がしっかりと形成されていないとなかなか難しいが、どうしたら、そうできるのか。明日香さんに尋ねてみた。

「それはアラフォーだからじゃないですかね。だって20代でした一度目の結婚の時は、お花畑みたいで、あんまり考えてなかったし。姓のことだけじゃなくって、お互いにもう大人だから、彼には彼の生活があって、わたしにもわたしの生活がある。

 だから、結婚する前に、姓を変えたくないっていうことだけじゃなく、生活は変えませんって言ってもいたんです。『酒も飲むし、旅行も行くし、いきなり家に入る人になりませんけど、いいですか』って確認も取りました。

 あと、晩婚の良さといえば、若い頃よりは、少しだけお金に余裕がある。なので、まずは食洗機、洗濯機、乾燥機を買って、部屋の掃除はダスキンに外注することも考えて、どっちが洗うとか、誰が洗濯するとか、くだらないことで揉めないようにしようって思います」

 結婚は、誰もがしなくてはならないものではなく、したい人がしたいタイミングに、自分の意思でするもの。だからこそ、結婚後に「こんなはずじゃなかった」という不満を口にすると、口さがない人からは “相手を見る目がなかった”“わかっていて結婚したのではなかったか”というような自己責任を問う言葉が返ってくる。けれども、結婚する前にどれだけ想像力を張り巡らせても、取り違えることや、予想を裏切られることはある。

 一度目の結婚後、明日香さんが得た“幸せな結婚生活”を送るための知見は、結婚しても生活を変えないこと。今のところ予定はないけれども、もしも離婚し、そして再婚することになったら、やはりわたしも自分の名前は変えない、という選択を取ると思う。

大泉りか(おおいずみ・りか)
1977年東京生まれ。2004年『FUCK ME TENDER』(講談社刊)を上梓してデビュー。官能小説家、ラノベ作家、漫画原作者として活躍する一方で、スポーツ新聞やウェブサイトなどで、女性向けに性愛と生き方、子育て、男性向けに女心をレクチャーするコラムも多く手掛ける。『もっとモテたいあなたに 女はこんな男に惚れる』(イースト・プレス 文庫ぎんが堂)他著書多数。2017年に第1子を出産。以後育児エッセイも手掛け、2019年には育児に悩む親をテーマとしたトークイベント『親であること、毒になること』を主催。

2019年9月10日掲載

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