筋肉一筋20年「なかやまきんに君」の魅力 実はキワモノではない、スーパーエリート

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スーパーエリート芸人!?

 なかやまきんに君は芸人の中でも「キワモノ」というイメージがあるかもしれないが、実は早い時期からその才能を認められて売れていたスーパーエリート芸人でもある。彼は吉本興業のお笑い養成所『NSC大阪』の22期生だった。同期にはキングコング、山里亮太、ダイアンなど才能あふれるメンバーがいた。だが、この中でテレビに出たのが一番早かったのはきんに君だった。

 在学中に当時の大人気番組『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)に出演したのである。筋肉ムキムキ一点突破の斬新なキャラクターは、早い段階でテレビ業界にも評価されていた。その後は、ネタ番組でギャグやネタを披露するかたわら、スポーツ系の番組でも頭角を現すようになった。『スポーツマンNo.1決定戦』(TBS系)では、芸能人大会で前人未到の4連覇を達成した。彼の筋肉は見掛け倒しではなく、本物の「使える筋肉」でもあることが証明された。

 2006年、人気絶頂だった彼は突然、芸能活動を休止して「筋肉留学」に出かけた。筋トレの本場であるアメリカのロサンゼルスに行って、筋肉を鍛えつつ、現地のテレビや映画にも出演しようと考えたのだ。

 だが、入学した学校では勉強に追われてトレーニングが疎かになり、アメリカの生活も肌に合わなかった。4年半の筋肉留学から帰ってきた彼の肉体はガリガリにやせ細っていた。「筋肉留学」では苦い挫折を味わうことになった。

 だが、そんな苦難を乗り越えて、現在では肉体美を復活させ、ボディビルの大会でも入賞するなどの活躍を見せている。筋肉芸人が増えた今でも「筋肉と言えばなかやまきんに君」というイメージはいまだに強い。潔く筋肉だけに人生を捧げている彼の芸は、圧倒的に力強く、それゆえにどこか間が抜けていて、今でも私たちの心を震わせてくれる。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)など著書多数。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年9月9日掲載

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