ジャニ圧力問題で「元スマ3人」に超大物の援軍登場 テレビ復帰早まる

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 テレビ局のジャニーズ事務所への忖度によって番組から消えたとされる元SMAPの稲垣吾郎(45)、草なぎ剛(45)、香取慎吾(42)に光が差し込んだ。3人は「日本財団パラリンピックサポートセンター」のスペシャルサポーターを務めているが、その日本財団の笹川陽平会長(80)がブログでテレビ局を辛辣に批判し、忖度をやめるよう求めたのだ。笹川会長は政界などに強い発言力を持つだけに今後が注目される。

「闇営業」問題に端を発し、吉本興業の体質問題が問われている中、テレビ局のジャニーズ事務所への忖度問題も大きく動き始めそうだ。

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人はジャニーズ事務所を離れた途端、テレビ番組からパージされ続けているが、7月17日までに公正取引委員会は「ジャニーズ事務所がテレビ各局に圧力をかけていた疑いがある」として注意を与えた。

 それを受け、笹川陽平氏は7月23日更新のブログでこう書いたのだ。

「まことに不可解、どうにも納得できないことが起きた。絶大な国民的人気を誇っているはずのこの3人がテレビから消えてしまった。ジャニーズ事務所との契約終了後、3人のテレビ出演はコマーシャルを除いてゼロになってしまったのだ。そして、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに、SMAPの元メンバー3人を出演させないよう圧力をかけた疑いが浮上したのである」(笹川氏の言葉、ブログより)

 「日本のドン」とも呼ばれた故・笹川良一氏を父に持つ笹川氏は、安倍晋三首相(64)と懇意で、私的ブレーンとも呼べる存在である。

 2018年8月には山梨県鳴沢村にある自分の別荘に安倍首相、森喜朗元首相(82)、小泉純一郎元首相(77)、麻生太郎元首相(78)を私的に集めて、大物ぶりを見せつけた。

 笹川氏の言葉に戻ろう。

「東京パラリンピック大会まであと1年に迫った今こそ、元SMAPの3人が、自ら体験したパラリンピックの各競技種目について、あるいは障害者スポーツで頑張る選手たちの姿をテレビで語ってくれたら、東京パラリンピック大会はさらに盛り上がるだろうに。そんな期待を壊してしまう深刻な事態だ」(同・笹川氏の言葉、ブログより)

 実はSMAP解散問題を考えるにおいて最重要キーワードとすら言えるのがパラリンピックなのだ。

 SMAPの解散が発表されたのは2016年8月だが、テレビ局関係者やレコード会社関係者の多くが直前まで「解散はない」と言い切っていた。その最大の根拠が、SMAPが2015年11月から日本財団パラリンピックサポートセンターの応援サポーターを務めていたことだったのである。

 国家的イベントだからキャンセルできるはずがないと思われていた。なにより、「パラリンピック応援の中心にいる笹川氏は裏切れない」と信じられていたのである。

 国内各選手たちも「出場権を得てSMAPと会いたい」などと競技場で話しており、まさかサポーターを降りることはないと思われていた。2020年東京パラリンピックの会場は、SMAPにとって約束の地であり、そこに立たぬことなど考えられなかったのだ。

 それだけに解散となったとき、関係者は一様に落胆したという。もっとも、稲垣、草なぎ、香取はジャニーズ事務所を出たあと、スペシャルサポーターとしてパラリンピックの応援を再開した。約束を守った。だが、中居正広(46)と木村拓哉(46)の2人は……。個人の責任ではないだろうが、結果的にパラリンピック関係者を落胆させたままになっている。

 再び笹川氏のブログに戻る。

「ジャニーズ事務所の“圧力”もさることながら、テレビ局の姿勢にはあきれてしまう。日ごろ『報道の自由』を金科玉条にしているはずの各テレビ局が、国家的イベントである東京パラリンピック大会の成功よりも、多くのタレントを擁するジャニーズ事務所の意向を忖度したとしか思えない。公正取引委員会はジャニーズ事務所に対し、独占禁止法への違反行為は認められないものの、違反につながる恐れがあるとして注意したという。これはジャニーズ事務所が、SMAPの元メンバー3人を出演させないよう各テレビ局に圧力をかけたことを物語ってはいまいか」(同・笹川氏の言葉、ブログより)

 厳しいが、笹川氏がSMAP問題、ジャニーズ事務所問題について発言したのはこれが初めてなのだ。ずっと腹の中に溜め込んでいたものが一気に噴出したのかもしれない。

 笹川氏が会長を務める日本財団は公益財団法人で、国内外で幅広く福祉活動を行っている。国内では子供支援、障害者支援、災害復興支援などを行っている。

 福祉活動の原資はというと、一般からの寄付金も含まれているが、多くがボートレース(競艇)の売上金の一部。笹川氏も2008年までは全国モーターボート競走会連合会の会長を務めていた。

 なので、民放各局には、より笹川氏の言葉が胸に響くに違いない。ボートレースは2019年度の売り上げは1兆3000億円を超える見込みで、広告費も莫大なのである。現在も田中圭(35)や渡辺直美(31)のCMが頻繁に流れている。

 笹川氏の言葉は終始厳しい。

「視聴率を1%アップするためにしのぎを削る各テレビ局が、根強い人気をもつSMAPの元メンバーを2年間も出演させないこと自体が異常である。『出演の可否は独自の判断で決めている』『ジャニーズ事務所からの圧力はなかった』などとするテレビ局側の白々しいコメントを信じる視聴者など、どこにもいないだろう。独禁法違反につながりかねない状況を公取委が確認したのであれば、各テレビ局も謙虚に事実を認めるべきである。東京パラリンピック大会を成功させるためにも、早急に3人のテレビ復帰を実現させてほしいものだ」(同・笹川氏の言葉、ブログより)

 笹川氏の発言を受け、これから稲垣、草なぎ、香取がどうなるかというと、遠からずテレビ番組に復帰するのではないか。それはパラリンピックが開催される2020年8月より、かなり前だろう。

 3人はパラスポーツ応援チャリティーソング「雨あがりのステップ」を歌っている。国際的イベントの公認応援歌を歌いながら、テレビからパージされ続けるのはあまりにも不自然なのだ。海外のパラリンピック関係者が見たら、かなり奇異に映るだろう。

 応援歌だけではない。3人は障害者と健常者がたすきをつなぐパラ駅伝などの会場を訪れ、応援し、選手たちと触れあっている。笹川氏の言葉ではないが、彼らがテレビに登場しないのはパラリンピックのためにマイナスに違いない。

 3人はオリンピックとパラリンピックを迎えるムードが高まり始める年末までにはスポーツ番組、歌番組に登場すると読む。そして「雨あがりのステップ」を歌うだろう。

 笹川氏はこうも書いている。

「3人は国際パラリンピック委員会(IPC)の特別親善大使に任命された。熱心な活動に対して、パラサポや筆者が会長を務める日本財団には、彼らのファンからたくさんの激励の手紙が寄せられている。3人の活躍なくして『パラリンピック』の認知度が今ほど上がることはなかったと筆者は思う」(同・笹川氏の言葉、ブログより)

 やはりパラリンピックがカギだったのだ。3人は約束をはたしたことで、超大物の後ろ盾を得た。

高堀冬彦(ライター、エディター)
1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長。2019年4月退社。独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月24日掲載

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