100万票も減らした「公明党」 「れいわ」に奪われたか「創価学会」の弱体化か

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自民党の一派閥

島田:まあ、今回は投票率が24年ぶりに40%台と低迷しましたからね。いくら創価学会に支えられているといえども仕方がないと思いますよ。

――投票率が低くなればなるほど、相対的に有利になると言われたのが、信者数827万世帯(2007年時点での公称)を誇る学会票ではなかったか。

島田:いえ、最近はそうでもなくなってきています。827万世帯というのは、信者の証しとして授与された御本尊の数ですからね、途中で信仰をやめてしまった世帯もカウントされています。私は信者の実数は約280万人と見ています。ですから、投票率が低い中にあって、信者の2・5倍近くになる650万票を集めているのですから、まだまだ大したものですよ。

――学会員が知り合いに電話するなどして公明党議員への投票を呼びかける、いわゆるF(フレンド)票のおかげか。

島田:そうです。でもね、これまでF票集めを熱心にやって来たのは創価学会の婦人部でしたが、高齢化が進んでいます。定年退職した男性信者の壮年部が代わりを務めるようになっていますが、婦人部ほどの選挙への慣れがない。若い学会員となると、選挙にはあまり関心を持っていないのは、創価学会といえども一緒です。

――れいわ新選組から出馬した野原氏に代表されるように、安保法案賛成に回った公明党は、平和の党ではなくなったと、反発している信者も出たのではないだろうか。実際、640万票しか獲れなかった1992年の参院選は、前年に湾岸戦争が起こり、選挙直前にはPKO法案に公明党が賛成。このときも反発した学会員が多かったとの声もある。

島田:いえ、あまり政策的な問題は関係ないと思います。野原さんも30万票に届きませんでしたからね。山本さんにもまだ、学会から票を奪うまでの力はないでしょう。

――やはり政策よりも、選挙をやると功徳になる、という信仰が優先するのか……。

島田:今回、創価学会の機関誌である聖教新聞には、選挙期間中に安倍晋三首相(64)はじめ、菅義偉官房長官(70)、二階俊博幹事長(80)が、公明党議員と並んだ写真が掲載されていました。これまでなかったことですから、学会員としては、まるで公明党が自民党の一派閥に成り下がったような印象を受けたかもしれません。

――確かに投票日である21日の聖教新聞には、公明党候補者の手を握って応援演説をする安倍首相の写真、17日には同様に菅官房長官と二階幹事長の写真が掲載され、山口代表の写真はその下に掲載されている。こうなると誰が公明党のトップか分からない。かつてなら池田大作名誉会長(91)が「大勝利!」と一喝すれば済んでいたものだが、10年近く表舞台に姿を現していない。

島田:代われる人がいませんからね。いまや池田名誉会長に直接会ったことのない信者も増えています。

――支持母体が弱体化すれば、公明党も必然的に弱体化ということか。

島田:今後、急激に票を失うとは思いませんが、徐々に減らしていくでしょうね。かつて信者を増やした高度経済成長期の60年代とは状況が違い、入会する人も減り、信者は高齢化が進んでいます。今後は構造的に学会員の数は減って行かざるを得ません。でも、議員の数はなるべく減らさない方向なので、これまで選挙で培った選挙のノウハウを活かして何とかやっていくしかないということでしょう。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月24日掲載

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