53歳2児の父「住宅ローンを早く返したい」は大損!? 繰り上げ返済せずに負担を減らす方法とは

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「退職金でローン一括返済」はやってはいけない?

吉田さん:でも、借り換えができなくても、退職金一括返済という手もありますよね…。

小野原先生:それはちょっと考え直したほうがいいかもしれませんね。

吉田さん:え、そうなんですか? どうしてですか?

小野原先生:吉田さんが60歳のとき、まだ下のお子さんが在学中ですよね。住宅ローンを完済すると、団体信用生命保険がなくなってしまいます。生命保険や就労不能保険などがなくなってしまうので、少し不安ですよね。高齢なので、新たに保険に入るのも条件が厳しいし、保険料も高くなってしまいます。お子さんたちが独立するまでは収入を確保しよう、と考えて再雇用で働き続ければ、住宅ローン控除も受けられます。下のお子さんの卒業まではローン返済を続けた方がいいかもしれませんよ。

吉田さん:住宅ローンには保険や節税の役割もあるんですね。

小野原先生:そうなんです。ローン返済を急ぐより、ライフステージごとに保険を見直してみてください。お子さんの成長に合わせて少額にしていってもいいと思いますよ。

吉田さん:結局コツコツなんですか…。やっぱり宝くじを買うしか。

小野原先生:宝くじを買うより、投資を勉強したほうが断然確率が高いですよ!

「投資信託6千本の中から運命の1本を見つける三つのポイント 専門家が教える定年後設計」(https://www.dailyshincho.jp/article/2019/05270640/
「iDeCoは本当に得か 50代男性に待ち受ける『落とし穴』とは 専門家が教える定年後設計」(https://www.dailyshincho.jp/article/2019/05130640/

 あとは、ローンが残っている70歳までは働くこと、この気持ちが大切ですね。

吉田さん:やっぱり、結論がそこなんですね。早くリタイヤしたかったけど、無理かぁ。

小野原先生:健康なうちは働くのが一番ですよ! 住宅は、最後にはリバースモーゲージなどで老後活用できる資産になりますから、挫けずに。70歳まで働いても、人生100年時代ですからリタイア後も30年あります。お金の不安から解放されて、健康的な生活を送るためにも、今のうちから奥様ともしっかりお金について話をして計画を立てていくということがとっても大事だと思います。もしかしたら奥さんも「パートに出て働きたい」なんて仰ったりするかもしれませんよ?

吉田さん:カミさんとお金の話ってちゃんとしたことないな~。

小野原先生:多くのご夫婦がそうなんですよね! でも、一緒にライフプランを練り直すと、夫婦の結束が高まるようです。熟年離婚を避けるためにも、今から協力して乗り切ろうという、家族マネー会議なんていうのもよいかもしれないですよ!

吉田さん:今回、一番重い宿題かもしれないです…。

小野原先生:夫婦の行く末も長いですよ。頑張って、吉田さん!

〈今日の学び〉
・現金が必要な人はローン繰り上げ返済はしない方がいい。
・ローン借り換え3条件は「1千万円」「10年以上」「1%以上の差」。
・住宅ローンの完済とともに保険がなくなることに注意。
・長く収入を得ることを考えよう。

ファイナンシャルアカデミー
お金の教養を身につけるための総合マネースクールとして2002に創立。東京校・大阪校・ニューヨーク校・WEB受講を通じて16年間で延べ約50万人が、貯蓄や家計管理といった身近なお金から、資産運用、社会を豊かにするお金の使い方までを学習。初心者向けの定番「お金の教養講座」https://www.f-academy.jp/school/kyouyousemi.htmlや40、50代に特化した「定年後設計スクール無料体験会」https://www.f-academy.jp/school/retirement.htmlが人気。

小野原 薫(おのはら かおる)
ファイナンシャルアカデミー認定講師、ファイナンシャルプランナー、相続診断士。大手証券会社勤務時代に、一受講生としてファイナンシャルアカデミーの講座を受け、中立的な金融経済教育の必要性を強く感じ同社の講師に転身。現在は成人向けの「お金の教養講座」や「投資信託スクール」の入門講座を担当する他、高校での出張授業など若年層への金融経済教育も積極的に行なっている。明るく誰にでもわかりやすい講義が好評。

2019年7月22日掲載

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