梅雨まっただ中!コンビニ「ビニール傘」最新事情 大きく、黒く、そしてシェア…

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注目される“シェア傘”

 一方で、ビニール傘はプラスチックと鉄部分の分別が難しく、リサイクルに適していないという指摘も上がっている。オールプラスチックのビニール傘が増えたとはいえ、レジ袋のプラスチックが問題視される昨今、ビニール傘も対岸の火事ではいられない。そんな中、注目を集めているのがシェアリングサービスとしての「アイカサ」だ。

 2018年12月にサービスを開始した当初は渋谷周辺のみの展開だけだったが、傘を借りられるアイカサスポットは約200か所に増え、登録ユーザーも2万人を超えている。コンビニではローソンが今年2月から、都内5店舗で実証実験を行っているほか、先月からはJR東日本や京急電鉄ともタッグを組んでいる。

 使い方も簡単だ。LINEアプリ内で、「アイカサ」のアカウントを検索し、「友だち」に追加すると、地図上に最寄りの「アイカサスポット」が表示される。傘立てに並んだ傘のハンドル部のQRコードをスキャンすると、パスワードが表示され、傘のダイヤルロックを解除すると利用可能となる。ちなみにスポットに何本の傘が置いてあり、うち何本が現在も利用可能かどうかも示されるので、「借りようと思ったのにない…」なんてこともない。

 返却時はアイカサスポットにあるQRコードを読み込んで傘立てに戻すだけ。借りたときと別のアイカサスポットに返しても問題ない。

「1日24時間借りても税込み70円。1か月に何度借りても420円という価格設定が絶妙です。ビニール傘の価格は長年、(東京23区・武蔵野市・三鷹市の)タクシーの初乗り運賃とライバル関係にありましたが、2017年1月末に初乗りが410円に引き下げられたことでその構図が崩れました。今後、アイカサスポットが順調に増えていけば、タクシー業界にとって新たなライバルになるでしょう。環境、人、社会にやさしいエシカル消費としても要注目です」(渡辺氏)

「メガネスーパー」や「カラオケの鉄人」、「板前寿司」などチェーン店は顧客向けサービスとして「アイカサ」の採用を始めている。

「ただでさえ雨の日は客足が鈍くなるから、雨の日サービスをしているが、ワンドリンクサービスや10%割引がありふれてしまってあまり効果があるとは言えない。その点アイカサなら傘立てにボロボロのビニール傘がたまって廃棄処分に困ることもなくなりそうだし、『傘が借りられるし、ちょっと寄り道するか』と思って来店してくれる客が増えるなら一石二鳥になるかも」(都内の居酒屋オーナー)

 果たして、シェアリングエコノミーで“金の雨”は降るのか――。

週刊新潮WEB取材班

2019年7月18日掲載

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