ホテルの「アメニティグッズ」が大ピンチ 最大手・資生堂の撤退で品薄に…

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在庫がなくなれば第2ラウンド

 ではどこが受け皿になるのか。しかし、ことは供給能力の面だけではなく、問題はもっと複雑なようだ。折からの容器不足は今でも続いており、それに物流費の高騰が追い打ちをかける現状で、利幅が低く、利益が取れない低価格帯のブランドは、どこもやりたがらないというのが本音のようだ。

 実際、低価格帯を主に取引をしていたウテナ化粧品も、今年1月、突然、アメニティから撤退した。一方、ポーラは美容室業界から撤退して、アメニティに集中。「ポーラさんは、資生堂さんの撤退後、当初は、相当数の注文を受けていたようだ。結果、生産が間に合わなくなったため美容の生産ラインをアメニティの方にもっていくという考えではないでしょうか」と業界関係者は分析する。

 大手ビジネスホテルは、代理店のJTB商事を通じて、資生堂のアメニティを使っていた。全国に338施設を展開するルートインホテルもその一つ。6万5000ルームあるうちの5万ルームは、資生堂から花王が引き継いでいる。アパホテルも資生堂の商品が多かったが、その後がまだ決まっていない。資生堂の抜けた穴はまだ埋められていないというのが現状だが、市場から資生堂の製品が消えたわけではない。というのも資生堂の売り上げが高かった代理店が昨年の12月までに、相当数の商品を買い占めていたからだ。いまだに資生堂の在庫で対応しており、「資生堂さんの在庫が市場からなくなった後、第二ラウンドが始まる」と業界関係者は固唾をのむ。

 需要と供給のアンバランス。アメニティ業界では、間違いなく需要に供給が追いついていない。資生堂が抜けた市場は、他のメーカーがいくら頑張っても5割程度しか埋められないという。代理店から資生堂の在庫がなくなったときどうなるのか。世間では2020年の東京オリンピック開催に向けてホテルの建設ラッシュが続いているにもかかわらず、長引く大混乱の解決の糸口はいまだに見えてこない。アメニティグッズを手に入れることができないホテルは、ドラッグストアから調達するという事態が起こる日が来るかもしれない。

週刊新潮WEB取材班編集

2019年7月17日掲載

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