コパ・アメリカ、日本敗退のA級戦犯は「上田綺世」、メディアも現実を直視せよ

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ユニバーシアードで問われる上田の真価

 上田に話を戻せば、彼に苦言を呈する国内メディアも皆無だった。上田は法政大学のエースストライカーとして、昨年は同校の42年ぶりの全日本大学選手権の優勝に貢献した。

 国内のサッカーメディアは、大学生のためアマチュアだと配慮したのかもしれない。「ボールの引き出し方が上手い」とか「決定的な場面に顔を出している」と動き出しを評価する意見のほうが多かった。

 しかし、大学生だろうがアマチュアだとしても、日本代表として公式の国際大会に出場している以上、求められ、評価されるのは結果である。

 もちろん上田がシュートコントロールに長けたFWであることは論を俟たない。その上田があれだけチャンスがありながら、シュートをゴール枠にさえ飛ばせないシーンは意外だったのも事実だ。

 それだけプレッシャーを感じたのだろう。結果論だが、いきなりコパ・アメリカで出場させるのではなく、格下相手だったキリンチャレンジ杯のトリニダード・トバゴ戦かエルサルバドル戦で“試運転”させておくべきだったかもしれない。

 一番悔しいのは上田自身であり、エクアドル戦後は「僕のサッカー選手のキャリアとして、コパ・アメリカで点を決められなかったこと、あれだけチャンスがあって、仕事ができなかった悔しさというのは、この先続いていくキャリアで絶対に忘れられないことになる。こんなに自分が外して無力感を感じることもたぶん日本にいたらないと思う」と3試合を振り返って総括した。

 果たして9月の日本代表戦に上田は再招集されるのか。その前に、来月5日からイタリア・ナポリで始まるユニバーシアードが控えている。上田は連覇を狙う日本のエースストライカーとして結果を残せるか。まずはこちらの大会に注目したい。

 上田の他に気になったことを2点ほど指摘したい。まず両サイドバックだ。3試合を通じて左は杉岡大暉(20)が出場し、右は原輝綺(20)が1試合、岩田智輝(22)が2試合に出場した。

 彼らは守備でこそ奮闘したが、攻撃参加はウルグアイ戦の2点目につながるクロスを杉岡が上げたくらいで、エクアドルの右SBベラスコの攻撃参加と比べても物足りなかった。

 現代サッカーではサイドバックの攻撃参加はもはや必須だ。エクアドル戦の後半はより攻撃的なサッカーをするために、森保一監督は4-2-3-1から3-4-3にシフトして、杉岡と三好康児(22)をウイングバックに置くという選択肢もあったはず。

 そして前線を右から久保、岡崎慎司(33)、中島翔哉(24)の3トップにするのも1つのアイデアだった。しかしながら森保一監督(50)は板倉滉(22)に代えて前田大然を投入し、2トップにしただけだった。

 ボランチも、いまひとつ機能したとは言いがたい。板倉と中山雄太(22)の2人は、守備に専念するかわりに攻撃は柴崎岳に任せたと思うほど、攻撃の場面に絡んでこなかった。

 意表をついたロングパスやゴール前への飛び出しなどは皆無と言っていい。このため日本の攻撃の起点は柴崎1人に限定されたので、対戦相手も守りやすかったのではないだろうか。

 A代表の遠藤航(26)と比較すると物足りなさは否めない。板倉と中山は海外でプレーしているだけに、さらなる成長を期待したいところだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月30日掲載

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