朝日が煽って国会質疑という「#KuToo」運動への溜息

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女の敵は女

 ファッション評論家の堀江瑠璃子氏によると、アメリカでは、1970年代から80年代にかけて似たような現象が起こったという。

「当時、アメリカでは女性の社会進出が進み、女性解放運動が盛んでした。で、靴の問題だけではなく、女性の体を締め付けるもの全般に反発が高まり、ブラジャー焼き捨て事件が起こったりしたのです」

 と、堀江氏は言う。

「ただ、今回の件は女性差別云々ではなく、会社が従業員の服装を細かく規定するという点が問題なのだと思います。おしゃれというのは常に我慢を伴うものです。ブラジャーだって、多少きつくても胸の形、上半身を綺麗に見せるために着けますよね。その我慢をするかどうかは個人の美意識によるもので、会社がとやかく言うことではない」

 数十年来の「ハイヒール廃止論者」だという評論家の呉智英氏は、

「ハイヒールは力学的に見てつま先に負担がかかるのは明らかだし、歩くのも大変。不健康で非実用的なものは、男だろうと女だろうとただちに止めるべきです。私はラクになることは賛成。しかし、例えば、冠婚葬祭の場で、ラクでだらしない恰好でいるのはマズイ。結局、TPOですよ」

 とした上で、こう話す。

「男女問題で言えば、むしろハイヒールは女性が進んで履いてきた経緯がある。愚行にくみしてきたわけです。ハイヒールは男の目を意識して作られ、履かれてきたもので、女性が我も我もと求めてきた。であれば、社会や男を叩く前に、そうした女性を叩かなければならないはずです」

 女の敵は女。しかし、それでは「運動」が成り立たないのだ。

週刊新潮 2019年6月27日号掲載

ワイド特集「梅雨の晴れ間の花道に」より

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