反米軍基地のデニー知事、沖縄県主催「全国キャラバン」は“官製の左派活動家集会”か

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5人の「専門家」たちの“毛色”は…

 移設先が辺野古に絞られた経緯については、民主党政権時代の2012年12月11日付で、仲井真弘多知事(当時)の照会に森本敏防衛相(同)が回答した「在日米軍・海兵隊の意義及び役割」の中で、辺野古以外に検討された沖縄県内外の複数の候補地を挙げて「説明」している。これは沖縄県の公式ホームページにも文書が掲載されているのだ。

 かくして「行政」たる沖縄県主催のイベントは事実上、「反米軍」「反安倍政権」勢力による約2時間のプロパガンダ集会となった。

 無理もない。キャラバンの運営を一手に担うのは、沖縄県に事務局を委託された民間シンクタンク「新外交イニシアティブ」(以下、ND)なのである。NDは、この日のシンポジウムで進行役を務めた事務局長の猿田佐世弁護士らが先頭に立ち米国でロビー活動を展開するが、翁長雄志前県政時代から「反辺野古」で県側とタッグを組んできた。

 評議員もリベラルや左派と称される鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、藤原帰一(東大教授)、マイク・モチヅキ(ジョージ・ワシントン大学教授)、山口二郎(法政大学教授)、柳澤協二(元内閣官房副長官補)、屋良朝博(衆院議員)の6氏が顔を並べる。

 ゆえに11日のシンポジウムに招かれた5人の「専門家」たちの“毛色”は言わずもがなだ。発言のほんの一部を紹介すると…。

 「選挙民主主義は沖縄では否定されている。選挙で示された民意は無視されている」と指摘する元琉球新報論説委員長で沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏は、辺野古問題と北方領土問題をからめ、こう言い放った。

 「(日米)地位協定が日本の主権を侵害している。ロシアのプーチン大統領は、北方領土を日本に返した場合、米軍が置かれる可能性について日本が決められるのか分からないと言っている。日本の主権はその程度だ。(沖縄の)知事が基地拡大に反対しているのに計画が進んでいる。辺野古ですらノーと言えないのに、(ロシアにとっては)北方領土を返して基地を作られたらどうするのか、ということだ」

 北方四島の一島どころか石ころ一個も返すつもりはないであろうプーチン氏に、本人が聞けば小躍りするようなエールを送ったのである。

 また、東京新聞の記者は「辺野古は唯一の選択肢」という政府の説明を「ウソだ」と切り捨て、「普天間飛行場を辺野古に移設する軍事的合理性はないし、政治判断でいかようにもできる。あとは安倍(晋三)さん(首相)、菅(義偉)さん(官房長官)のやる気だ。彼らがやらないなら、やれる違う人を探しましょうということだ」と語った。

 そう政権交代の必要性に触れた記者は最後に、迫る参院選に向けて気勢を上げたのである。

 「沖縄に脅威はない。脅威があるうんぬんではなく、(安倍首相が)米国にいい顔して、米国にいい首相として長くお墨付きをもうらおうと仕事をしているとしたら、辺野古の問題は今の政治家に任せられない。違う人を選びましょう。7月に参院選もある」

 この発言に対して、参加者の一人は「選挙や政党には中立的であるべき行政が主催するイベントの場で許されるのか」と怒りをかみ殺した。

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