「チバニアンは第二の小保方事件だ」と糾弾の教授に研究チームが真っ向反論

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 旧石器捏造事件にSTAP細胞騒動、最近では東洋英和女学院の院長による論文捏造など、科学と“作り話”は紙一重の関係にあるのかもしれない。

 先だって“捏造疑惑”の騒ぎに見舞われた千葉県市原市の「チバニアン」の場合はというと……。

 全国紙記者によれば、

「一昨年の6月に茨城大学などの研究チームが市原市田淵にある約77万から12万6千年前の地層を新たな地質時代“チバニアン”と命名するため国際学会に申請。すでに2次審査を通過し、命名権の獲得は秒読みだった」

 ところが、

「命名に反対する茨城大の名誉教授が、研究チームの調査には捏造があると言い出した。そして昨年7月、地層周辺の土地を所有する地権者との間で10年間の賃貸借契約を締結。さらに、賃借権を登記し、地層に立入りできないようにすると言い出したのです」

 一体、何が捏造だというのか。当の名誉教授である楡井久氏は言い切る。

「研究チームは、別の場所で採取した試料を、田淵の地層で取れたものだと偽っているんですよ。これはれっきとした捏造で、第二の小保方事件といっても過言ではありません」

 一方、捏造と決めつけられた茨城大の岡田誠教授は、

「はっきり言って、彼の主張にプロの研究者はみんなぽかんとしていますよ」

 として、こう続ける。

「我々が2015年に発表した論文では、確かに別の場所で採取した試料をデータに使っています。でも、それはチバニアンの地層の高さが足りないためであって、論文でもそのことは明記されているんです」

 楡井氏の主張に心当たりはないのか、と尋ねると、

「彼が言うのは、15年の8月に行われた現地見学会でのことなんです。そこで参加者に地層の説明をした際、確かに、別の場所の試料が含まれていることは説明しなかった。でも、見学会は学術の場ではないし、論文に明記されているわけで、言うまでもないことでしょう」

 さらに、

「その後、より近接した場所の壁面とチバニアンの地層が連続していることが証明でき、そちらの資料を添えて発表した論文も問題なく審査を通っている。批判をするなら学術の場で行うべきで、現場を立入り禁止にするなど研究者として理解できません」

 現場に立てられた看板には「科学の過信(思い上がり)、瑕疵(失敗)の壁」の文字が見え、楡井名誉教授の強烈な個性が滲む。

 思わぬ難敵の出現なのだ。

週刊新潮 2019年6月13日号掲載

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