日本一高い「スマホケース」は33万円!“驚きの価格”について販売会社が解説

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逆絞り製法

 製造は、“革のマイスター”といわれる岡本拓也氏が率いる工房「T・MBH」とコラボしている。

「岡本さんは、業界でも有名な方で、技術は日本一、いえ、世界一と言えるかもしれません。ケースの裏側の象革は、彼独自の“逆絞り製法”で加工しました。この製法は、高級紳士靴などに用いられるホールカットを応用したものです。革に穴を開け、その穴の部分の革でiPhoneを装着する樹脂ケースを覆います。象革と樹脂ケースを覆う革との境目がない(一枚の革で繋がっている)ので、非常に耐久性の高い仕上がりになっています」(同)

 このスマホケースには、永久リペア保証がついているという。

 2009年に創業した坂本ラヂヲは、主にiPhone用ケースの販売・製造を手掛ける。昨年の売上は22億5000万円だった。

「社長は、初めてiPhoneを購入したとき、保護するケースを買おうとしたところ、シリコン製のチープなものしかなかった。それなら自分で作ろうということで、スマホケースのブランド『GRAMAS(グラマス)』を立ち上げたのです」(同)

 2011年にiPhone4Sが出たとき、本革性の手帳型ケースを販売、反響を呼んだ。

「今の時代はキャッシュレス化が進んでいますから、スマホが財布代わりになっています。財布は10万円、20万円なんてざらにありますからね、だったらスマホケースだって高くてもいいのではないか。ファッションアイテムのひとつと考えればいいのです。おしゃれな人は、靴やバックは洋服と合わせます。スマホケースも洋服に合わせて、たとえばカジュアルなものとか、スーツに合うものなど、いろいろと使い分けてみてはいかがでしょうか」(同)

 33万円のスマホケースは、コストや数量の足かせを取っ払った『GRAMAS Meister』という受注生産の製品となる。

「この『GRAMAS Meister』は元々、クロコダイルの革で作った製品がメインとなっていまして、価格は6万から8万円です。昨年は100個売れました。ネットや銀座の直営店で注文を受けるのですが、顧客の内訳は、半分が中国人でした。男女比では、若干男性が多いですね。日本人は、40歳から50代の会社の経営者や30代の普通のサラリーマンですね。お笑い芸人もよく買われているようですし、半年前には、有名ホストのROLANDさんがクロコダイルの黒を購入しています。ネットで注文し、SNSで届きましたとアップされたので買われたことがわかったのです。Meisterの製品を5種類以上購入した上客も10人ほどいらっしゃいますよ」(同)

 が、33万円のスマホケースは、問い合わせがあるものの、まだ1個も売れていないという。

「上客からは、お金がたまったら買いますと言ってくださっているのですが……」(同)

 坂本ラヂヲの坂本雄一社長の話。

「iPhoneの端末が13、4万円ですから、ケースはその3倍近い。だから、話題作りのようなものですよ。岡本拓也さんとは仲が良くて定期的に飲みに行ったりしているのですが、昨年の夏頃でしたか、彼から電話がきて、すごく希少な象の革が入ったからこれで何かやらないかと。ほんと、半分冗談みたいな話なのですが、やってみようということになった。そしたら、作ったら30万円を超えたと彼から連絡がきて……。誰が買うんだとの意見もありましたが、面白いから出そうよということになったのです。富裕層の方たちは人とは違うものを持ちたがります。日本では、iPhoneを持っていてもなんの自慢にもならないので、自己主張ができない。ならばケースで主張できるのではないかと思いました。商談などでスーツを着た大の大人がスマホを出すとき、格好いいものでありたい。これがコンセプトになっています」

 なお、象革に限りがあるので、33万円のスマホケースはわずか5個できるかどうかという少量生産。早いもの勝ちというわけである。

週刊新潮WEB取材班

2019年6月7日掲載

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