「喫煙者」差別なら許されるのか 「長崎大学」採用問題

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「煙草は、よし給え」。愛煙家で知られた太宰治の短編「美男子と煙草」には、太宰本人が喫煙中の少年たちを注意するシーンが描かれる。翻って平成の終わり、よりにもよって大の大人に「よし給え」と通告したのは国立の長崎大学。喫煙者は教職員として採用しないと発表したのだ。

「教育の場として喫煙者は相応しくない」

 大学側のコメントだが、よくもここまで断言できたものだ。

「大学の発表は先月19日のこと。すでに募集要項にも記載され、煙草を吸うかどうか、面接時に確認する。“優れた教育には心身の健康が不可欠”とし、国立大学では初めての取り組みになるそうです」(地元記者)

 さらに4日後には、同じく国立の大分大学が非喫煙者を優先的に採用する方針を明らかにし、追随する格好となった。

「大学教員は教育者であり、研究者。その能力で雇用されるべきだと思います」

 と、“煙草は吸わない”元外務省主任分析官の佐藤優氏が語る。

「喫煙という個人の趣味嗜好によって雇わないのは、豚肉やチョコレートを食べない人を採用しないというのと同じくらいばかげています。ヘビースモーカーで優秀な研究者が教員になれないなら、大学の研究の質を損なうことになります」

 その点、神奈川県の受動喫煙防止条例の制定に携わった東海大学の玉巻弘光名誉教授も同意するところだ。

「国立大学教職員は公務員に準ずる職です。その職への採用を喫煙者というだけで排除することに、合理的根拠は見出しがたく、不当差別ではないか。昨年発覚した、医学部入試における女子・多浪受験生の得点をそのことだけで一律減点していた問題と大差ないように感じます」

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