令和が始まっても「平成31年」刻印の硬貨が大阪造幣局で製造中のワケ

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いまも平成で製造しています

 早速、造幣局に聞くと、ヤフオク!で取引されていることもご存知だった。

「割りと高値がついているようですね。でも、私はこのあいだ“おつり”で、平成31年の貨幣を3枚もらいましたけど……。あくまで通常貨ですので、それなりの数は作ってますからね」(造幣局広報担当)

 ただ、平成31年はすでに終わっている。どのくらいの数を作ったのだろうか。

「いえ、期中ですからね、まだ製造していますよ」(同)

 え? 令和元年の今も平成31年を?

「そうです。まだ令和の金型を作っているところです。それまでは“平成31年”で作り続けます。金型も最後は人の手で仕上げなければなりませんから、結構、時間がかかるんです。夏頃までは “平成31年”で製造することになります」(同)

 意外や意外、まだ“平成31年”で作られていたとは……。ちなみに昭和から平成に変わった1989年はどうだったのだろうか。

「あの年は2月には平成に変わりました。わりと無理をしたと聞いています」(同)

 今回は無理をしない?

「いえ、そういうわけではなく、GWもありましたしね。結構、頑張っていると思います」(同)

 働き方改革の時代である。ともあれ、夏以後に“令和元年”に切り替わるということならば、今年の製造数の過半数は“平成31年モノ”ということになるのだろうか。

「それぞれの貨幣を同時に製造しているわけではないので、どの貨幣は平成が多いとか、令和が多いとか、言える状況ではないのです。ただ、1円、5円は、もともと製造枚数が少ないですからね。ちなみに平成31年度の年度計画には、“平成31年”と“令和元年”、そして来年1月~3月までの“令和2年”まで含まれます。わかりにくくて申し訳ありませんが……」(同)

 それにしても、5円玉50枚(250円)に3万1027円(124倍)のも値がつくとは、少々驚きである。とはいえ、実際にそれほどの価値があるのか、コイン商に聞いてみた。

「まあ、欲しがる人がいるかどうか、要は需要と供給の世界ですからね。毎年、造幣局は通常の貨幣6種類をセットにした“ミントセット”(平成31年:2000円)、硬貨に磨きなど特殊加工を施した“プルーフセット”(同:7714円~)などを発売しているのですが、これが今年はバカ売れしていて、追加発行しているものもあります。まあ、平成から令和に切り替わるという今だからこその人気でしょうね。もちろん、欲しい方がいらっしゃるから、うちでも取り扱っていますよ」(東京コイン倶楽部)

 同店のホームページにはミントセットに1万2000円の値がついている。ただし、ヤフオク!のように単品、バラ銭での販売はないようだ。いずれ“平成最後”のコインとして値が上がることは?

「どうでしょうね、記念セットはともかく、全く流通していないというわけではありませんからね。例えば、平成23年の1円、5円、50円は、それぞれ45万6000枚しか製造されていません。すべて記念セットに使われており、市場には一切出回りませんでした。こうしたものなら多少は上がるでしょうが、やはり数が出ているものは難しいでしょう」(同)

 ちなみに財務省の計画では平成30年度、31年度ともに1円玉の製造数は100万枚である。もっとも、平成30年銘の1円玉は、製造計画の改定を経て最終的には44万8000枚しか製造されなかったが、価値が高騰しているわけではない。果たして31年銘はどのくらい製造されるのか?

 あなたの小銭入れに平成31年はありますか?

週刊新潮WEB取材班

2019年5月16日号掲載

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