野村克也、ぼやいても聞き手がいない…サッチー急逝から1年余 つまらないプロ野球を語る

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 稀代の名捕手にして、恐妻家。野村克也氏(83)が“男やもめ”となって、1年余が経つ。プロ野球界のレジェンドが、孤独、そして今のプロ野球についてぼやきながら語った。

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――“サッチー”こと妻の沙知代さんが心不全で亡くなったのは、2017年12月のことだった。心の整理がつかない突然死。しばらくは死んだという事実を受け入れられなかったと語る。

 墓に送って、ようやく現実を受け入れて、大仕事が終わったな、という感じで心が落ち着いたかな。墓も買っていなかったから、息子の克則の奥さんに、1週間くらいで見つけてもらいました。僕も隣りに入れるようにしてね。

――亡き妻を思い出すのは「こんなことをしたら怒られるかも」というとき、だそう。

 浮気もできないですね。ついつい「銀座に遊びに行ったらサッチーに怒られるんじゃないか」と考えてしまうから。昔から、銀座で女の子を口説こうと思っても「サッチーが怖い」と逃げられたもんです。いまでも逃げられますよ。みんなサッチーのおばけが怖いんじゃないですか(笑)。

 女房に先立たれると、男の弱さがわかるよね。一番つらいのは、話し相手がいないこと。僕は「ぼやきのノムさん」なんて呼ばれてるけど、その「ぼやき」の相手がいなくなってしまうと、やっぱりさみしい。

――現在は、週に2、3日ほど、テレビの収録や雑誌の取材を受けて働いている。いわく「まったくストレスがない日々を送っています」。根っからの野球好きゆえ、野球評論家の仕事もストレスは感じない。相手さえいれば“ぼやき”も健在のようで……たとえば、巨人の原辰徳監督について。

 1回クビにしたのに、また呼び戻すというのはどういうことでしょうか。実力がないからクビになったのに、数年で戻す意味がわからない。いまの野球界がいかに人材不足かということが露呈しています。

――選手にしても、有力な選手が海外に行ってしまうことが、日本のプロ野球にとって大きな損失だと語る。

 いまのプロ野球は、はっきり言ってつまらないでしょ? 野球の試合、観ますか? そもそも、いまの選手や監督は「野球とは?」という問いに答えられませんよ。僕なら「頭のスポーツだ」と答えます。

 いかに相手を分析するか。それが本来の野球の醍醐味なんです。でも、いまの試合を見ていても、選手や監督の思考が伝わってこないんですね。

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 このほか、イチローについて「監督はダメ」とも語った野村氏。5月8日発売の週刊新潮で、そのぼやきをたっぷりご紹介する。

週刊新潮 2019年5月16日号掲載

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