フジ「春ドラマ」窪田正孝、松坂桃李、二階堂ふみの明暗、データで見る視聴者の評価

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ネット上では熱い

 同ドラマの真骨頂は、ネット上での話題力だろう。Yahoo!リアルタイム検索によれば、初回放送24時間でのツイート数は21000超。日テレ『あなたの番です』に次いで多い。しかも2話目の際の約14000はトップ。多くの人が同ドラマについて発信していることがわかる。

 実はSNSでの発信だけでなく、同ドラマは検索もよくされている。Google Trendsによれば、タイトルによる検索が全14ドラマの中で断トツのトップ。しかも初回の当日だけでなく、その翌日や、2話目当日、およびその翌日も多く検索されていた。役者・主題歌・演出・ストーリーなど、ドラマに関して気になることがあり、実際にアクションを起こした人が如何に多かったかがわかる。その意味では、話題・行動の喚起力を持つドラマと言えよう。

 実はフジの3本では、『ラジエーションハウス』もツイート数や検索数が全体のトップ3に入った。結果としてキー5局の中で比べると、同局は検索数でトップ、ツイート数で2位となった。世帯視聴率ではあまり振るわなかったが、ネット上で強いというのは、今後の展開に期待を持たせる結果と言えよう。

満足度では別の風景

 ドラマの評価指標としては、関東地区960人を対象にエイト社「テレビ視聴しつ」が実施している満足度もある。これによると、3本平均でフジは4位と低迷しているように見える。実はこれは、『ストロベリーナイト・サーガ』が5段階で3.14と、断トツの最下位になったため平均点を下げた。

 ただし他の2本は、堂々と上位に入っていた。

『ラジエーションハウス』は3.80で4位。5段階評価で最高点を付けた視聴者が多かった。
「放射線科の裏側が見れて面白い!」女性21歳・満足度5
「新しい目線でおもしろい」女性28歳・満足度5
「俳優がカッコいい」男性28歳・満足度5
「知らない世界を知った」男性45歳・満足度5
「主人公の窪田くんかっこいいです」女性13歳・満足度5

『パーフェクトワールド』も3.74で5位に入った。こちらは内容への感動を示す感想が目立った。
「考えさせられる」女性58歳・満足度5
「障がい者もこんな気持ちなのかと少しわかった」女性16歳・満足度5
「ストーリーが感動した」女性14歳・満足度5
「続きがきになり来週も楽しみ」女性25歳・満足度5
「久しぶりの純愛ドラマで楽しみ」女性28歳・満足度5

反転攻勢へ

 フジのドラマは16年から18年にかけて、ドラマ3枠とも視聴率一桁という苦しいクールが目立った。ところが去年から月9が復活の兆しを見せ、全体の雰囲気もよくなってきている。今クールも世帯視聴率的にはまだ不十分だが、若年層の個人視聴率・満足度・ネット上での話題力など、明るい兆しが随所に見られるようになっている。

 今クールでは特に『ラジエーションハウス』と『パーフェクトワールド』で、高満足度の声が若年層で目立った点が頼もしい。前者に至っては、若年層の個人視聴率もかなり高くなっている。そして両ドラマとも、ネット上での話題力がトップクラスなのが力強い。

『ストロベリーナイト・サーガ』は残念な結果になっているが、全体でみるとフジのドラマは着実に力をつけている。90年代の栄光とまでは行かなくとも、ドラマのフジ復活に期待したい。

鈴木祐司(次世代メディア研究所代表、メディア・アナリスト)
1982年にNHK入局。主にドキュメンタリー番組の制作を担当。2003年より解説委員(専門分野はIT・デジタル)。編成局に移ると、大河などドラマのダイジェスト「5分でわかる~」を業界に先駆けて実施したほか、各種番組のミニ動画をネット配信し視聴率UPに取り組んだ。2014年独立、次世代メディア研究所代表・メディアアナリストとして活動。

週刊新潮WEB取材班

2019年5月6日掲載

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