安倍官邸に媚びるNHK 不純な動機で異例の「返り咲き人事」

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生え抜き会長とスマホ課金

 そんな人物が専務理事に返り咲いたものだから、

〈複数のNHK関係者は、政権に太いパイプを持つとされる板野氏の復帰は「首相官邸の意向」と明かし、NHKと政権との距離を危惧する声が上がっている〉(毎日新聞4月10日付)

 飼い主が官邸に替わったわけだ。NHK関係者の胸中も複雑という。

「いまのうちには島桂次さんや海老沢勝二さんのような生え抜き会長がいませんし、報道に限らず、さまざまな事案を円滑に進められる政権との太いパイプがなかった。菅義偉官房長官も、板野さんならそれができると評したと聞きました」

 実際、会長の外部登用が4代続くNHKにとって、生え抜き会長は悲願である。

「そしてもう一つ、“スマホ課金”の悲願もあります。まずは、今年3月に閣議決定されたインターネット常時同時配信が19年度中に開始されると、ネット視聴をしたい受信料未払いの人が払ってくれる可能性が高まり、増収が見込めます」

 加えて、第5世代移動通信システム(通称5G)。

「来春サービス開始予定の5Gが本格導入されれば、映像コンテンツなどが一瞬でスマホにダウンロードできるようになる。うちのコンテンツで、スマホ1台で300円徴収できれば、日本にあるスマホを1億台とすると300億円の増収。受信料徴収と合わせて、限りない伸び代があるんですよ」

 受信料値下げもなんのその、だ。菅官房長官は携帯料金値下げにもこだわっているから、スマホ課金の後押しとなる。ならばここで官邸と手を取り合い“ウィンウィン”の関係を築くべし――。異例人事にはこんな動機が隠されていたのだ。

週刊新潮 2019年4月25日号掲載

ワイド特集「舞台裏の狂言回し」より

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