新グータンヌーボで浮き彫り ハセキョーが吹かせる先輩風のイタさと悲哀

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「お局」と「憧れの先輩」の狭間で ハセキョーの吹かせる先輩風と悲哀

 一世を風靡したモデル兼女優のハセキョーも、今や40歳。歳の離れた後輩女子たちと一緒に仕事をする中で、「憧れの先輩」になるか、それとも「お局」扱いされるかは大きな分岐点である。しかし悲しいかな、それは本人の意思や努力では決まらない。後輩たちがどう解釈し評価するかに全てゆだねられている点で、相当難しくつらい戦いが待っている。

 例えば、ズバッと核心に切り込む質問や、毒舌も辞さない役回り。以前の放送では、江角マキコが最年長ゆえ、こういう役を買って出ていた。一番年上かつ既婚者だから聞きにくいことも聞くし、言いたいことを言う。憎まれ役になっても、年下が矢面に立つより良い、という男気ある先輩ポジション。

 ただ難しいのは、そうした行動を後輩がどう受け取るかである。「敢えて言いにくいことも言う、厳しい態度で臨む」様子は自己犠牲的で美しく見えることもあるが、後輩にとっちゃただのめんどくさい先輩に映ることもある。

 で、ハセキョーもこの年長者ならではのジレンマに陥っているように見えるのだ。20代のMC2人が天然と無口ということも大きい。彼女たちが番組を盛り上げるのは荷が重いだろうから、自分がやるしかない、と余計に鼻息荒くしちゃってる印象なのである。それもまた、後輩たちから見るとプレッシャーにも映りかねないが、ハセキョー先輩の先輩風は止まらない。

 まず、年下ゲストと話す時目が笑わない。口角を下げ、腕組みをしながら「モテるでしょ?」と問いただす。恋愛上手な大人の余裕を出したいのかもしれないが、ただただ怖いだけである。でも本人はきっと、進行役として、そしてMC内では最年長かつ唯一の既婚者として、精一杯その場を回そうとしているのだろう。無口な西野が話せば、「頑張ったね~」と肩に手を置いてねぎらう。背中や二の腕を出した肌見せスタイルに、つやつやした肌や唇で現役感もキープ。総合すると、切れ味鋭い仕事ぶり、でも優しくてキレイな憧れの先輩。それがハセキョーの狙いだろうし、そう思ってほしい雰囲気がひたひたと漂ってくる。

 ただ、後輩は思ったように動かない。恋愛を赤裸々に語るゲストはそうおらず、スタジオでは田中も主導権を握りたがってハセキョーを年長キャラとして扱う。若手2人はあいまいにうなずいたりするだけ。ハセキョーが努力した割に、報われていない印象なのである。

 とはいえハセキョーの空回り感とつらさ、先輩側になったことのある女性なら少しだけわかるのではないか。痛々しいという声もわかるけれど、こっちだって一生懸命やってるのよ、と言いたい気持ちにもなるだろう。

 ただ、童話「北風と太陽」では、力んで北風を吹かせても旅人は思い通りにならなかった。先輩風を吹かせて相手を変えようとするのではなく、太陽のようにただ温かく見守ること。それが令和時代の後輩女子のトリセツなのではないだろうか。ハセキョー先輩、気負わず踏ん張ってほしいものである。

(冨士海ネコ)

2019年4月24日掲載

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