枝野「立憲民主党」はどこへ向かおうとしているのか ライバルは自民党ではなく共産党?

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枝野氏でイメージダウン

 立憲民主党内でも例外ではない。党関係者は「党の重要事項を枝野氏と側近の福山哲郎幹事長だけで決めてしまうケースが目につく。この2人への不満がくすぶり始めている」とささやく。

「看板であるはずの枝野氏が表に出れば出るほど、党のイメージがダウンするように感じる」。党中堅議員もため息をつく。

 こうした党内外での空気を肌で感じているのか、枝野氏にも最近、微妙な“変化”がうかがえる。

 元首相で立憲民主党最高顧問の菅直人議員 は9日、自身のツイッターに「国民民主党は、政治理念が不明確なので解散し、参院選までに個々の議員の判断で立憲との再結集に参加するのが望ましい」と投稿し、国民民主党だけでなく党内からも批判が噴出した。枝野氏は菅氏を口頭で厳重注意し、10日に国民の玉木雄一郎代表に謝罪した。

 枝野氏は17日のラジオ日本の番組で、与党の国会対応について「堂々と審議拒否をしている。登校拒否みたいな話だ」と批判した。だが「登校拒否」の表現で炎上したため、間髪入れずツイッターで、しおらしくおわびと訂正の表明をした。

 さらに同番組で枝野氏は、次期衆院選小選挙区で野党候補者の一本化を各党に呼びかける考えを明らかにした。これがニュースになるのだから“驚き”の発言だったのである。

「枝野氏が政党支持率の低下で相当な危機感を抱き始めている証だ。だが、この1年半の枝野氏の上から目線の対応で、とりわけ国民民主党との関係はぎくしゃくしている。枝野氏を信じ切ることはできない」。国民民主党中堅議員はそう指摘する。

 そもそも政策・主張においてリベラル色が濃い立憲民主党は、55年体制下で自民党と対峙した社会党とダブる。枝野氏は自らを「保守だ」と強弁するが、JR総連と親密であり、革マル派との関係が国会で取り沙汰された経緯がある。

 これから先も政権担当能力が備わることはあり得ないであろうこの党にとって、「政権交代」は絵空事でしかない。ただ野党第一党の座を堅持し、万年野党として自民党とうまくやっていくことが真の“目標”なのではないか。

「立憲民主党の事務局は、自治労や日教組の出身者が仕切っている。保守層からすれば異質な政党であることに変わりなく、今後もコアな支持層しか頼りにできない。前回の衆院選で、野党内で独り勝ちしたのも、『反自公・嫌希望・非共産』票の受け皿となっただけ。その支持層の一部も現実に立ち返り、離れ始めているということだ」(自民党関係者)

 いまだに天皇制や自衛隊、日米安保に反対する共産党は、ここ十数年、どれだけ「ソフト路線」に舵を切っても、党勢拡大にはつながらなかった。それは堅い鎧の下に覆い包む「革命政党」の本性を、多くの有権者に見抜かれているからである。

「第2の社会党」に映る枝野・立憲民主党も、共産党と同じ道をたどるかもしれない。だとすれば、この党にとって当面の究極的ライバルは、自民党・安倍政権ではなく共産党である。昭和の時代に近親憎悪とされた「社共」の確執が、令和を迎えて「立共」で再現されるのか。

週刊新潮WEB取材班

2019年4月23日掲載

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